【ひのみやぐら】深刻な建設業の人材不足

2014.07.01 【社説】

 建設業の人手不足が深刻化し、現場での安全管理が不安視されている。とくに工事量が増えている東京労働局では、5月22日現在の死亡者数が16人で、昨年同期の5人に比べ3倍を超える状況となっている。

 工事量が増えているのは、間違いない。東日本大震災の復興工事が本格化しているのに加え、アベノミクス効果による景気の浮揚で再開発などが活性化してきた。東京都内では、大規模な工事現場も少なくない。

 活況を呈する一方で人手不足により人材の質の維持が保てず安全管理に支障をきたし、その結果、労働災害増加につながっているのだ。単に工事量が増えたから災害も増えた、という冷めた見方だけでは済まされない要因がある。

 今起きている人手不足問題は非常に難しい。かつて公共投資減少と景気停滞で、建設業界は多くの技能労働者を失った。熟練の”技”というのは継承していくものだが、それが途切れているか、か細くなっている。今、景気がよくなったからといって、すぐに人材が戻ってくるというものではないのだ。加えて少子化問題がある。職場環境がよくなった建設業でも、若者にはいまだ3K職場と敬遠されがちだ。また、戦力となるのに数年を要するだろう。にわかに外国人労働者を活用する案も浮上してきた。排斥するつもりは毛頭ないが、言葉や習慣など別の問題が生じることは論を待たない。

 今後、国土強靭化基本法による全国的な防災設備の整備に加え、東京五輪の本格的な工事も始まる。厚生労働省では、都道府県単位で「建設工事関係者連絡会議」を立ち上げる(6月15日号ニュース欄既報)としているが、人材不足による安全管理のあり方について、活発な協議が行われることを切に願う。

掲載 : 安全スタッフ 平成26年7月1日第2213号

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