ルール明確化で不正防ぐ/社会保険労務士法人ハーネス 所長 沼田 博子

2017.11.26 【社労士プラザ】

社会保険労務士法人ハーネス
所長 沼田 博子 氏

 企業の不正・不祥事が相次いでいる。不正・不祥事は直接的損害を被るだけでは済まない。社外的には信頼関係を損ない、社内的には腐敗を蔓延させて従業員のやる気を喪失させ、不満・不安を煽り、生産性を低下させる。

 不正・不祥事防止対策は弁護士や公認会計士だけではなく、社労士もかかわるべき業務である。なぜなら、職場の不正は、組織の問題であり、労務管理の問題であるからだ。やる気の喪失や不満・不安が膨張した結果が、横領、不正請求、ハラスメント、労災事故、ミス、隠れサービス残業などにつながるのである。

 職場の不正・不祥事が起こる要因を労務管理の面からみれば、ルールの不明瞭、過大な負荷、コミュニケーション不足の3つであると考えられる。

 まず、ルールの不明瞭は、不正・不祥事行為への心理的負担が少なく、正当化しやすい状況を作りやすい。対策は、ルールを明瞭にし、互いに業務をチェックする機能を強化することである。さらにマニュアル化・統一化すれば、不正・不祥事の行為が発覚しやすく、抑止効果が働く。「報連相」で情報を共有化することで業務効率も高まる。 次に、業務量とノルマの過大な負荷については、業務量が過剰になれば、疲弊し、ミスが増え、さらに業務量が増えるという悪循環に陥る。そうなると、サービス残業を隠すといった不正が起こる。業務量の削減は経営トップが取り組まなければ解決しない問題である。また、努力をしても達成できない過大なノルマを押し付けられたら、人は無気力になり、不満だけが積もる。不満は、不正・不祥事を正当化させる動機につながる。対策として、労働時間管理、行動ルール(懲戒規定)、評価制度の見直しなどが必要である。

 最後に、コミュニケーション不足は、情報の共有化を妨げ、いじめ・嫌がらせなどハラスメントの温床になる。職場で心理的安心が得られなければ、いくら育成されても「人」はその能力を存分に発揮することができなくなる。対策には、コミュニケーション活性化研修、ハラスメント防止研修、承認研修、キャリアコンサルティングなどが効果的である。

 職場の不正・不祥事防止対策は、組織として状況を把握し、課題を共有し、抜本的な改善策を実行していかなければならない。そのためには、「人」に寄り添い、勤怠や採用・退職等のデータを活用できる社労士からの支援が効果的であると考えている。

社会保険労務士法人ハーネス 所長 沼田 博子【大阪】

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掲載 : 労働新聞 平成29年11月27日第3138号10面

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