医療分野の働き方改革へ/ASOTパートナー 三輪 貴哉

2017.11.19 【社労士プラザ】

ASOTパートナー
 三輪 貴哉 氏

 昨今、人材採用はどの業界、業種であっても経営課題の1つとなっている。なかでも医療業界では死活問題にまで発展しているところもある。とくに診療所においては、これまでも専門職である看護師や歯科衛生士などを採用することが難しいのは常識となっていたが、今は事務職の採用も困難である。

 その理由として、医療機関における特殊な勤務形態が考えられる。

 まず、一般企業と比べ、途中の休憩が長く、終業時刻が遅くなってしまう。

 また、診療日の兼ね合いで半日勤務が週2回あるケースが多く、労働時間としては週40時間であるものの、労働日が6日となってしまい、「土日休み」となっていない。

 世間一般の企業は、週休2日制が当たり前のなかで、こういった診療所がいまだ多く存在していることから、事務職の採用が難しくなっているといえる。

 また、時代の流れとして、ワーク・ライフ・バランスや仕事と育児の両立などの働き方改革の推進が叫ばれるなか、積極的に取り組めないことも大きな課題といえる。

 この負のスパイラルが、結果的に離職率にも影響している。医療業界では、3~5年で職員が退職するのが、ほぼ常識となっている。

 退職理由の多くは、「院長や職員との折合いが悪い」といった人間関係を理由とするもの、「給料が安い、年次有給休暇が取れない」といった労働条件を理由とするものがある。このほかにも、女性が多い職場であるため、妊娠や出産を理由に退職するケースも多い。

 なかには「もっと勉強できる環境で働きたい」、「もっとキャリアが積める医院で働きたい」、「もっと自分の頑張りを評価してもらえる環境で働きたい」など、キャリアや仕事に対する評価を望む理由も存在する。

 つまり、働きやすい職場を築き上げることはもちろんのこと、職員がキャリアパスを描ける態勢や仕組みの構築が、医療業界の発展につながるといえる。

 しかしながら、医療機関の場合、経営者は医師、歯科医師として最前線で患者と向き合い、医療行為を行っているため、普段の仕事のなかで、働き方改革や人事制度改革を進めるには相当の労力と覚悟が必要であり、第三者の力なくして実現は不可能である。

 人事労務管理に携わる我われ社会保険労務士にとって、この業界を支援することは、大きなやりがいといえる。

ASOTパートナー 三輪 貴哉【愛知】

【公式Webサイトはこちら】
http://asot-partner.com/

掲載 : 労働新聞 平成29年11月20日第3137号10面

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