顧問先の「卒業」が理想/社会保険労務士法人TIS 代表 玉城 巖

2017.11.12 【社労士プラザ】

社会保険労務士法人TIS
代表 玉城 巖 氏

 「ありがとう。これで一家離散せずに済みました。本当にありがとうございました」。平成20年、社労士事務所へ補助者として入社した2年目の秋に、今でも忘れられない労災事故を担当した。

 建設業の下請業者の従業員が熱中症で倒れた際、仕事をもらえなくなることを恐れた会社側が元請業者に報告しなかったため、被災労働者は4カ月にわたって病院のICUにて生死をさ迷い、その間、国民健康保険で医療費を負担していた。これ以上負担しきれなくなった被災労働者のご両親からの訴えで事故が発覚し、遡及して労災申請を行った事案である。

 労働基準監督署へ掛け合い、1000万円を超える国保への返還医療費は療養費の先行給付で対応し、休業補償給付、障害補償年金も無事に受給するに至った折、被災労働者とご両親から冒頭のお言葉をいただいたことを鮮明に覚えている。

 その時はじめて、社労士という職業の素晴らしさを実感した。いま思えば、資格取得を真剣にめざしたのはこれが原点だったように感じる。独立開業してもうすぐ満5年が経過するが、補助者として6年半学んだ経験は着実に私の中で生きており、様ざまな場面で選択のヒントとなっている。

 現在は7人のスタッフ体制で沖縄県内の中小企業を中心に労働保険・社会保険・給与計算業務の事務手続き代行、助成金の申請代行、労務相談を承っている。おかげさまで開業から現在までスタッフと顧問先に恵まれ、また同業の社労士の先生方や他士業の先生方を含め多くの人に助けられながらここまで着実に成長することができた。ヒトの専門家である社労士という立場の前に、私自身が関わる人々に沢山のことを勉強させていただいている。

 ある社労士の先生が仰っていた、事務所運営のヒントとして心に突き刺さった言葉がある。「スタッフのキャリアや成長に結び付かない仕事はしない」、「顧問先事業主が成長する機会を奪わない」の2つだ。

 これまでの弊所サービスは、各種事務手続き、書類作成、官公庁の調査対応など代行業務を中心に行っていることに気付いた。現在は、事業主および事務職員への指導・アドバイスを充実させていくことで、顧問先事業所が弊所を卒業し、自社で事務手続きや労務管理が完結できる仕組みづくりを模索している。こうして私自身、弊所スタッフ、顧問先事業所がともに成長することで、沖縄の明るい未来を創っていくため日々邁進していく所存である。

社会保険労務士法人TIS 代表 玉城 巖【沖縄】

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掲載 : 労働新聞 平成29年11月13日第3136号10面

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