外国人用の就業規則整備へ/社会保険労務士法人人事労務ラボ 工藤 克己

2015.01.12 【社労士プラザ】
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社会保険労務士法人人事労務ラボ
工藤 克己 氏

 日本における外国人労働者数は着実に増えており、この傾向は今後も継続することが予想される。

 自民党が昨年3月に取りまとめた外国人労働者受入れ拡大の提言案は、①実習生の受入期間を、条件付きで最長3年から5年に延長、②3年の受入れが認められる職種の拡大(現行は建設、農業など68職種)、③企業における受入れ枠の拡大(現行は従業員50人未満の企業で1年につき3人)から構成されている。

 その背景には、東日本大震災の復興需要、東京五輪関連の特需などもあるが、根底にあるのは生産年齢人口の減少対策である。2013年10月時点の生産年齢人口は7901万人。それが2050年には総人口が1億人を割り、生産年齢人口も5000万人程度まで減少する見込みである。国としても①少子化対策、②高齢者や女性の活用を積極的に進めてはいるが、目に見えた効果には程遠く、外国人労働者に頼らざるを得ない状況にあることは間違いない。しかし、昨今は外国人労働者の獲得も簡単にはいかないようである。

 韓国や台湾でも労働力不足から外国人労働者の獲得に乗り出しているからだ。韓国の受入期間は最長9年8カ月、台湾は最長12年。日本は延長されたとしても最長5年。外国人労働者の本音(できるだけ長く働いて家族に仕送りをしたい)を考えれば明らかに大きなハンディである。それだけでなく、待遇や働く環境の面でも日本は大きく後れをとっている。数年前、一部の企業が低賃金で、しかも半強制的な劣悪な環境下で働かせていたことが発覚し、大きな社会問題になったことは記憶に新しい。

 一方、韓国や台湾は、国が前面に出て企業に人材を紹介したり、査察チームを編成して企業を監視するなど、受入姿勢そのものが日本と大きく異なっている。一部の有識者には、日本人の就労機会が減るとか、治安が悪化するという理由で外国人労働者の受入れに慎重論を唱える者もいるが、仮にそうであっても、それは国を巻き込んで克服していく以外に道はない。

 これからの社労士事務所は、近い将来、外国人労働者の労務管理が大きなテーマになることを見据え、外国人労働者用の就業規則の整備やメンター制の導入支援などを今から準備する必要があると考える。

社会保険労務士法人人事労務ラボ 工藤 克己【神奈川】

【公式webサイトはこちら】
http://labo.or.jp/

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    平成27年1月12日第3000号10面 掲載
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