人事制度は中長期的視点で/㈲人事・労務 代表取締役 矢萩 大輔

2013.01.28 【社労士プラザ】

㈲人事・労務 代表取締役
矢萩 大輔 氏

 最近の人事の仕事のうち、イノベーションを起こせる人材を発掘する、将来に向けて次なる市場や商品を生み出せる人材を育てるといった、人材のポートフォリオを組み直すということが、賃金制度の改革以上に重要な仕事となってきている。

 以前は人事制度を作るにしても、「これを今期中に達成できたらお金をあげるよ」といった、短期的な視点のものだったが、これからはイノベーションを起こし組織の体質そのものを変えるといった中長期的な視点からの人事制度を作ることが求められている。

 例えば、前年度に立ち上げた事業がいくつあるか、2年以内に開発された商品の売上はどれくらいかなど、イノベーションの目標を掲げたり、社内の新しい仕組みを整えたりしていくことも必要だろう。いわゆる成功企業の社長に話を伺うと、短期の利益を捨ててでも、企業文化に投資するといった視点を持っていることが多い。

 しかし、多くの会社では、そのような環境が整っていない。イノベーションを起こすという目的を持ってCSR活動に取り組もうとする会社や海外へと目を向ける会社があるにもかかわらず、業績に結び付いていないのは、その会社の企業文化に問題がある場合が多いからだ。

 イノベーションは、社内の人と人のつながりから生まれる。しかし、つながりを作るには風土から変えなくてはならず、風土を変えるには時間がかかる。

 そのためには、組織能力を高めるクレド(信条)やバリュー、さらに、組織開発のテーマとしてのコンセプトを定める必要がある。

 人事の役割は、いわば社長の分身づくりである。企業の価値を認識し、現場で「社長だったらどう考えるだろうか」と判断できる、すなわち企業文化を体現していける社員を、いかに多く発掘し、育成していけるかが課題になっている。

 そして、人事制度は、イノベーションをめざす企業には欠かせないものである。イノベーションを起こすとは、すなわち、企業文化の質の変化であり、コミュニケーションの質の変化に他ならない。そのため、経営者と社員をつなぐ唯一のコミュニケーションツールである人事制度の改革なくして、イノベーションは起こらないのである。

㈲人事・労務 代表取締役 矢萩 大輔【東京】

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掲載 : 労働新聞 平成25年1月28日第2906号10面

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