【主張】地域版の「政労使会議」を

2016.01.18 【社説】

 地方の景気回復と若者の賃金アップを実現するため、「地方版政労使会議」を設置拡大すべきであるという与党提案が注目されている。昨年の通常国会においても審議の対象となり、安倍総理も前向きな答弁をした。

 アベノミクスのスタートとともに始まった中央における「政労使会議」は、一部で「官製春闘」などと揶揄されたが、結果として稀にみる大幅な賃金アップを牽引し、引き続き今年も大きな期待が寄せられている。仮に賃金アップが中途半端に終わり、単に大企業の内部留保増大に留まっていたなら、現政権への支持・信頼はここまで維持されなかったはずである。地域を代表する企業経営者や使用者団体の代表らを「地方版政労使会議」に糾合し、若者の待遇改善と地域産業の活性化に向けて一体となれば、中央で達成できた成果と同様の期待が膨らむ。

 与党は昨年6月、青少年、若者の賃金アップ実現を主な狙いとする「地方版政労使会議」の設置を促すべきであると提案していた。予算委員会で取り上げられ、安倍総理は「地域版の政労使会議を作ったらどうかというご提案ですが、これは非常に良いアイデアだと思います」と答弁すると同時に、設置について前向きに検討すると話した。

 わが国の景気は、全体として上昇局面にあるが、問題は所得格差や地域格差につながりかねない点である。大手企業の大幅賃上げなど、景気回復の恩恵をできるだけ早く広く行き渡らせるためには、中央の「政労使会議」を参考にした実効性ある組織が必要という発想は納得できる。

 一部の都道府県では、すでに地方自治体と地方の労使代表を構成員とする協議会が作られている。福岡地域には、福岡労働局、福岡県、労使団体からなる「働き方改革推進会議」がある。京都地域にも同様の構成員による「働き方改革推進戦略会議」が設置されている。産業振興や賃金水準アップを確実なものにするには、こうした協議会をベースとし、さらに強力なリーダーシップが必要である。官邸と都道府県労働局が本気になれば組織化できよう。

掲載 : 労働新聞 平成28年1月18日第3049号2面

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