【主張】新時代へ向かう採用管理

2016.05.16 【社説】

 「通年採用」の導入は、従来からわが国大手企業の大きな課題となっている。厚生労働省も通年採用や秋季採用の実施を提唱しているが、今一歩拡大に勢いがない。しかし、若年労働力の急速な縮小と年功・終身雇用の崩壊、年次管理の見直しによっては流れが一変する可能性がある。近い将来、「新卒一括採用」が前時代的システムとなり得ることを認識すべきである。

 経済同友会が提言する新型の通年採用制(本紙4月25日1面参照)は、めざすべき一つの方向性を示しており、各社に導入を呼び掛けたい。

 少子高齢化に伴う若年労働力の減少は、「新卒一括採用」の鬼門である。景気動向に左右されるとはいえ、多数の大手・中堅企業が学卒者を一時期に一斉採用するシステムに先がないことは明らかである。仮に定員が埋まったとしても、優秀な学卒採用に漕ぎつけるかは心許ない。留学生などの外国人採用を含め、社員全体のレベルを向上させるためには、より最適なマッチングが期待できる通年採用が好ましいだろう。

 多くの企業において、年功・終身雇用が後退しているのも採用管理に大きな影響を及ぼしている。年次管理を基本とする年功・終身雇用の入口となっているのが、まさに「新卒一括採用」に外ならないためだ。日本型雇用システムの弱体化と踵を接して、「新卒一括採用」の意義も低下しつつある。

 経済同友会による「新卒・既卒ワンプール/通年採用」の提唱は、採用管理に新たな道を開くものだ。とくに、学部卒業後5年間を新卒と同様の扱いで採用するとした点が注目される。これまで卒業後3年までを「第二新卒」と位置付けてきたが、これをさらに柔軟にしている。

 ある程度の経験を積んだ後の27~28歳ぐらいまでの入社なら、十分に新卒と同視できる。スタートラインが違っても、入社10年も経てば立派な中堅社員に成長し、遜色なく働けるケースが多い。年次管理にこだわっていると、今後は優秀な社員を生かすことができないと認識すべきだろう。採用管理の新時代はすぐそこまで来ている。

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掲載 : 労働新聞 平成28年5月16日第3064号2面

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