【主張】限定正社員が成長戦略になるか

2014.03.17 【主張】
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 厚生労働省は「多様な形態による正社員」の普及拡大に向け、論点を明らかにしたが、その中で賃金は正社員の8~9割に絞り込んでいる(本紙2月17日付1面参照)。平成24年の研究会報告では、多様な正社員とはいわゆる正社員と同様に「無期労働契約」でありながら、職種、勤務地、労働時間等が限定的な者を指す。安倍政権は経済政策「アベノミクス」の成長戦略の1つとし、「非正規労働者の正規雇用化に繋がる」とメリットを強調しており、同省がこれに応じた「論点」ということになろう。賃金制度は役割責任給制度が普及しており、最初から「格差」を念頭に入れて論議するのはどうかとは思うがこれは実態把握に基づくものだから、否定は難しい。

 先の報告書によると、約5割の企業が導入(複数の組合せがあり、職種限定が約9割、勤務地限定が約4割、労働時間限定が約1~2割)している。導入目的は、人材の確保、定着の必要性、ワーク・ライフ・バランス支援が多い。企業回答では、賃金は論点と同じで正社員の8~9割程度。昇進・昇格は上限があり、事業所閉鎖時等の人事上の取扱いは、正社員と同様とする回答が多かった。一方、従業員回答は、正社員と同様の賃金を求める者が4割程度あり、雇用保障は8割程度が希望。

 平成23年に厚労省が全国1987社を対象に行った調査によると、51.9%の企業が限定正社員制度を導入しており、正社員全体に占める割合は32.9%。職種的にみると、運輸業、郵便業、医療・福祉などの業務で顕著だった。

 連合は、限定正社員制度がパート・契約社員から正社員へステップアップしていくための受け皿として使われたりするのは良いが、実際にそうならない危険性もあるとしている。例えば、会社が勝手に勤務地をなくしてしまった場合、これまでの正社員であれば、会社は解雇を避けるために自ら努力して新しい職場を準備しなければならない(解雇回避努力義務)。これに対して限定正社員は、勤務場所や仕事がなくなったことを理由に簡単に解雇されてしまうという恐れが高いことなどを、反対理由に挙げている。

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平成26年3月17日第2961号2面 掲載

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