【主張】岐路に立つ雇用労働情勢

2017.08.21 【社説】
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 内閣の布陣が一新した。国民の信頼と支持が戻るかは新内閣の今後の仕事次第だが、これを機に実績を振り返って客観的な評価を下したい。

 第2次安倍政権が発足しておよそ4年半が経過した。表面的には様ざまな問題が噴出しマスコミの攻撃材料となっているが、雇用・労働面に限っていえば状況は大きく好転している。現時点でこの流れがストップし、後退へ逆戻りするようなことになれば、日本経済は再び不安の中に包まれてしまう。

 安倍政権の雇用・労働面への功績は、極めて大きかった。従来の政権ではみられなかった「歴史的」と評される改革も少なくない。「官製春闘」により4年間にわたり2%を超える賃上げを達成したほか、「時間外限度基準」の法律への格上げや同一労働同一賃金にも着手した。現在検討中の解雇金銭救済制度の実現も期待が持てる。

 しかし、安倍政権の最大の貢献は雇用情勢の劇的回復にある。失業率と有効求人倍率は、通常の循環変動を大きく突破する上昇を実現している。有効求人倍率は1.51倍で43年ぶりの高水準、正社員有効求人倍率も1.01倍で平成16年の集計開始以来最高水準にある。

 雇用情勢の改善に寄与したのは、大幅な金融緩和だった。物価浮揚政策と円安誘導が雇用情勢に及ぼすインパクトは大きかった。賃金水準の本格的回復も間近とする見方も有力だ。未達成の目標として残ったのは、GDP成長率とインフレ率である。

 雇用・労働面の様ざまな改革と改善は、決して受動的に達成されたものではない。強い意思と確信をもって官民を主導し続けた結果生まれたものだ。各分野の専門家をブレーンとして上手く活用し、玄人にも評価できる成果を出し続けてきた。

 今後も引き続き改善基調を維持するか、あるいは当分の間現状を保持し、さらに日本経済の体力増強を図る必要がある。政権の主導力、実行力が減退したり、政策方針が大きく転換すればその保障はなくなる。雇用・労働にとって重大な岐路に差し掛かっていると考えたい。

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平成29年8月21日第3125号2面 掲載

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