【助成金の解説】特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)/岡 佳伸

2024.03.02 【助成金の解説】
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障害者等の就職困難者の就職を手助け

 この助成金は、高年齢者や障害者、母子家庭の母等などの就職が特に困難な方を、ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して支給されるものです。対象労働者の類型と企業規模に応じて、1人あたり60万円から240万円までの助成金が支給されます。支給対象期間は、1年から3年までで、半年ごとに助成金を申請することができます。

 主な支給要件は、以下の通りです。
・ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
・雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること
・雇用関係助成金共通の要件を満たすこと
・対象労働者に関する要件を満たすこと

 高年齢者や障害者、母子家庭の母等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。対象者の採用増と定着雇用を図ることを目的としています。対象者をハローワーク等の経由で雇入れることで対象になり、助成金の案内や支給申請書も郵送されるので取り組みやすく支給申請しやすい助成金になります。

受給のポイント

① ハローワーク等経由の人材紹介を経て雇用する必要があります。紹介を経ないで雇用に至った場合はいかなる場合でも対象にはなりません。
② ハローワーク等の職業紹介時点で、原則在職者でないことの要件があります。ただし、重度障害者、45歳以上の障害者、精神障害者を一週間の所定労働時間が30時間以上で雇い入れる場合は在職者であっても助成対象となります
③ ハローワーク等からの人材紹介時に対象者である旨の案内があります。人材紹介時に対象者である旨を開示されずに採用後に気が着いた場合(例えば本人が母子家庭の母等である旨をハローワークに伝えず、人材紹介時にその旨が分からず、内定後に分かったような場合)は対象になりません。
④ 雇入れに関する助成金のため、雇入れ後の前後6か月間に喪失原因3となる離職者(解雇や退職勧奨による退職)を出していないことや、過去3年間に特定求職者雇用開発助成金の対象になった者を解雇や雇止めをしていないこと等、様々な要件があります。
⑤ 雇入れ後の雇用形態は無期雇用契約が前提となります。ただし、自動更新の有期雇用契約であっても助成金の支給対象になります(令和5年10月から要件が改正されました)
⑥ 6か月間期間ごとに支給されますが、その期間中に対象者が自己都合で退職した場合は支給されません(死亡又は懲戒解雇で退職した場合は、その期間に応じて支給されます)。
⑦ 労働局から原則支給申請時期に併せて支給申請書も含めた書式の案内があります。
⑧ 特定求職者雇用開発助成金の対象者として受給した労働者が正規社員に転換してキャリアアップ助成金との併給はあり得ますが、無期⇒正規への転換区分となります。
⑨ 雇用調整助成金等との併給は出来ません。
⑩ 雇入日の前日から過去3年以内に、対象事業で働いたことのある人(請負、委任、派遣等を含む)は対象になりません。
⑪ 雇入れ後の対象となる雇用形態は正規雇用、無期雇用、有期雇用(自動更新のみ)となります。有期雇用契約で更新条件があるものは除かれます。
⑫ 本コースの対象となる労働者を雇い入れ、訓練+賃上げを実施した場合に、本コースの1.5倍の助成額を支給する「成長分野等人材確保・育成コース」があります。人材開発支援助成金と組み合わせて申請することとなります。

支給額

厚労省リーフレットより

支給申請の流れ

厚労省リーフレットより

支給申請の手続き

厚労省リーフレットより

そのほかの支給要件

厚労省リーフレットより


筆者:岡 佳伸(特定社会保険労務士 社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表)

大手人材派遣会社などで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。
日経新聞、女性セブン等に取材記事掲載及びNHKあさイチ出演(2020年12月21日)、キャリアコンサルタント

【webサイトはこちら】
https://oka-sr.jp

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