【主張】雇用相談センターに期待

2015.11.23 【社説】

 厚生労働省による「雇用労働相談センター」設置が軌道に乗り出した。福岡、東京、大阪の各地域に続いて新潟地域に4カ所目の同センターが開設されたという(本紙11月9日号1面既報)。

 それぞれの特区が先進的、革新的取組みを推し進め注目されている。各特区では、新規開業企業や海外からの進出企業が増加していくと考えられるが、そうした企業が難解な日本の雇用ルールをどこまで理解しているかは大いに不安なところ。

 いくら特区といえども公的部門が主導している以上、不当解雇などが横行する無法地帯となってはいけない。全国ネットワークを活用した人材紹介を充実させる一方で、同センターを中核とした雇用ルールの周知・啓発に全力を挙げて、健全な産業振興と雇用安定につなげてもらいたい。

 特区では、目を見張るほどの先進的取組みが始まっている。福岡市の「グローバル創業・雇用創出特区」は、人材の育成・確保により起業を促進させ、地域の成長と活性化を実現しようという試みだ。2018年までの目標は、開業率13%(現状は6.2%)、就業機会の多さに対する満足度44%(同33.3%)などとしている。

 このため、創業・起業をめざしている者に対するワンストップ支援や専門家によるサポート体制を整えている。グローバル人材を呼び込むために、外国人向けの医療環境や教育環境を整える努力も行っているという。

 新潟市の「革新的農業実践特区」では、農業の集積・集約化、企業参入の拡大、新たな技術を生かした革新的農業の展開、農産物の輸出促進などを事業の柱としている。すでに、域外大手企業との連携による農産物生産・加工事業も具体化し始めた。

 いずれも、今後の日本産業のあり方を変えるかもしれない取組みとして期待される。「岩盤規制」とされる日本の雇用ルールは、こうした産業振興にとって、一つの「障壁」になるかもしれないが、労働者保護と雇用安定が大前提であることを忘れてはならない。同センター開設の意義は大きい。

掲載 : 労働新聞 平成27年11月23日第3042号2面

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