【主張】大企業の摘発に終止符を

2017.01.30 【社説】

 過重労働撲滅特別対策班の活躍などにより、有名大手企業の労働法令違反摘発が相次いでいる。社会の模範となるべき上場企業が、実態は労働者を酷使するブラック企業であることが複数で明るみに出てしまった。大手企業は、これを機に雇用ルールを再確認し、法令違反のない職場を率先して確立すべきである。

 労働基準監督署による法令違反の摘発といえば、従来はもっぱら中小・零細企業を対象としていたが、近年、事情が変わっている。東京都内の2店舗で違法残業をさせていた靴販売チェーンのABCマートをはじめ、同じく5店舗で違法残業をさせていたドン・キホーテ、そして過労自殺者を出した電通、最近では三菱電機までも違法残業で送検された。法令遵守に徹しているはずの大手企業の司法処分がめだってきており、裏切られた感が強い。

 三菱電機のケースをみると、研究職の男性に労使協定で定めた上限の月60時間を超える78時間9分の残業をさせていた。残業時間を月40時間前後に過少申告させた疑いも持たれているという。この男性は、精神疾患を患い労災認定された。

 クレジットカードのJCBでは、やはり協定で月80時間までのところ、最長で月147時間残業をさせていた。ドン・キホーテでは3カ月で計120時間以内と決めていたにもかかわらず、最長計415時間の残業をさせた。

 いずれも労使協定の限度を超える残業を行わせた違反である。当然承知しておかなければならない雇用ルールの基本だが、多くの企業で守られていないとすると問題は大きい。全上場企業は雇用ルール全般を一から再確認し、適正化を図るべきである。

 中小・零細企業では、社長が一切を管理しているケースが多く、労働法令の遵守まで考えが及ばないというロジックがあり得よう。しかし、大手企業では人事部組織があり、法律の専門家などもいるはずで、そう考えると確信犯を疑われても致し方ない。

 日本を代表する企業が相次いで摘発されていく様はもう見るに堪えない。この辺で終止符を打ってもらいたい。

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掲載 : 労働新聞 平成29年1月30日第3098号2面

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