【主張】出産退職者の追跡調査がほしい

2013.12.09 【社説】

 本紙11月11日号1面には、育児休業給付に関する記事がトップとサイドに掲載されたが、かつてない構成である。労働力人口が05年をピークに減少傾向にあるなかで、女性の職場進出は、国を挙げての事業となっており、ヨコ文字を駆使した施策がとられている。総務省の労働力調査によれば、今年9月時点の女性就業率は過去最高の63.0%を示したということだが、実はそれはみせかけの改善効果に過ぎない。

 厚生労働省が昨年暮れに発表した、仕事と家庭の両立支援に関する資料によると、女性の「出産後継続就業率」はわずか26.8%。同省では、出産退職が43.6%に上っていることから、同就業率を15年に50%、20年には55%までに引き上げるという目標を明らかにしたが、わずか2年で2倍弱にするというのは、夢想といってもよかろう。

 妊娠、出産前後に退職した理由として、「家事・育児に専念するため自発的に辞めた」の39.0%はまだしも、「仕事を続けたかったが仕事と育児の両立の難しさで辞めた」26.1%は自発的に近いもので許せるとして、「解雇された。退職勧奨された」の9.0%は如何ともし難い就労環境だ。

 その点で、トップ記事がいう来年度から中小企業における育休復帰支援プログラムが期待される。新たに養成する職場復帰支援プランナーを活用して、実際に職場復帰に繋げた企業に対し、1企業当たり30万円を2回まで支給するというもの。自発的離職者の消極派やいやがらせ組の救済に期待が持てる。サイド記事は一般紙でも報道された。育児休業給付を現行の50%から67%に引き上げるという内容だが、いっこうに向上しない男性の育休取得率を組み込んだ点で、画餅に近いプランだ(詳細は1面記事参照)。

 出産退職解明が進んでいないのは、02年の国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」で明らか。結婚前の就業率が88.5%だったものが、結婚・出産後には23.1%まで低下している。育休支援の拡充と並行し、出産退職について、もっと詳しい追跡調査が必要である。

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掲載 : 労働新聞 平成25年12月9日第2948号2面

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