【主張】複雑化する育児両立支援

2024.02.08 【主張】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 労働政策審議会は、厚生労働省が提示した育児・介護休業法の改正法律案要綱を了承した(=関連記事)。小学校就学前までの子を育てる労働者に対して事業主が講ずべき措置の新設などが盛り込まれる。

 法改正で、労働者のニーズを踏まえた働き方の実現に向けた環境整備が進む一方、事業主に求められる両立支援制度の全体像はさらに複雑化することになる。要綱によると、来年4月からの段階的な施行を予定している。円滑な施行に向け、厚労省には周知活動の工夫を求めたい。

 子の年齢に応じた両立支援を事業主に求める同法では、労働者の権利または事業主の措置義務として、原則1歳までの育児休業のほか、3歳までの短時間勤務制度や残業免除、小学校就学前までの措置である看護休暇や残業制限(月24時間以下など)、深夜業の制限などを定めている。

 今回の改正では、3歳になるまでテレワークで働けるようにすることを努力義務とするほか、短時間勤務制度の代替措置にテレワークを追加。さらに、3歳~就学前の措置義務として新たに、始業時刻の変更やテレワーク、短時間勤務制度などの中から複数の制度を用意し、労働者に1つを選んでもらう「柔軟な働き方を実現するための措置」を法定化する。看護休暇は小学3年生まで取得可能とし、労働者の請求に基づく残業免除も就学前までに延長される。

 「柔軟な働き方を実現するための措置」を講じる際は、過半数労組などの意見を聞かなければならない。労働者本人に対して、制度説明と利用意向の確認を行うことも、事業主に義務付ける。

 同措置に関する意向確認時や、妊娠・出産の申出があった際に実施する育休取得の確認時などにおいて、勤務時間帯や勤務地など就業条件に関する希望について確認・配慮する義務も定められる。

 法改正で、事業主の措置義務が増えるとともに、意見聴取や個別の意向確認など、制度の導入手続きが複雑になる。法案成立後に省令や告示で定める事項も多い。事業主が両立支援制度の全体像を理解できるよう、施行までに十分な周知活動を期待したい。

令和6年2月12日第3436号2面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。