【主張】避けられぬ男性育休拡大

2023.04.06 【主張】
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 2030年度に85%という数字には、さすがに驚かされた。3月半ばの記者会見でこども・子育て政策の基本的考え方を説明した岸田文雄内閣総理大臣は、男性の育児休業取得率の政府目標を25年度50%、30年度85%とする方針を示した。実現するならここ数年に入社した新卒男性のほとんどが、いずれ育休を取得することになる。

 最新の雇用均等基本調査によれば、男性の育休取得率は未だ13.79%に過ぎない。20年末に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画においても、「25年度30%」という成果目標が掲げられている。首相自ら5カ年計画の半ばで目標の修正を“宣言”する背景には、昨年初めて出生数が80万人を割り込み、最近5年間で約20万人減少したという現状がある。

 企業の男性育休に対するスタンスは、まだまだ温度差が激しい。実質的に4週分の有給取得を義務化した㈱沖縄銀行のようなケースもあれば、取得率こそ伸びていても期間は1~2週間ばかりという企業もめだつ。4月から取得率(育児目的の休暇を含む)の公表が義務化された大企業と比べると、多くの中小企業では未だ申し出のたびに弥縫策を練るのが現実だろう。

 とはいえ、男性育休の拡大が、出生数の押し上げにどれほど寄与するのかは未知数だ。少なくとも出生数が低下するなかにあって、取得率は近年急速に伸びてきた。数年前まで2%足らずだった取得率は14%弱まで上昇し、取得期間についても「1カ月以上取得した男性の割合」は概ね3人に1人にまで高まっている(雇用均等基本調査)。

 かつて日本生産性本部が実施していた新入社員意識調査では、「子供が生まれたときには育児休暇を取得したい」かどうかを継続的に尋ねていた。最後の実施となった18年春の調査では、「そう思う」と答えた割合は男性でも74.2%に上っている。彼らが今も同じ意向を持ち続けているのだとしたら、7年後に85%という目標も、あながち不当とは言い切れない。取得が当たり前になる日を避けられないのだとしたら、余裕のあるうちに態勢を整えたい。

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令和5年4月10日第3396号2面 掲載

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