【主張】若者の雇用対策は国民的課題だ
七五三の祝いの季節になると、どこかのマスコミに必ず753現象が登場する。平成19年に政府がまとめた「青少年白書」で明らかにした中卒・高卒・大卒の各世代ごとの新卒者の離職率を指した文言からきたもの。同15年3月新卒者の3年以内の離職率は順に70.4%・49.3%・35.7%となった。確かに七五三と符合しているが、笑いごとではなく若年者の早期離職は大きな負の社会現象である。
内閣府は「子ども・若者白書」と名称を変更したが、その平成25年版によると、21年3月卒業者の3年以内離職者の割合は、中卒64.2%、高卒35.7%、大卒28.8%であり、この傾向は初登場してから変化していない。いや進学率が過半数に達した大卒の場合は、質の低下もあって今後増加傾向に転じることが憂慮されている。3年以内の卒業者を新卒扱いにするよう経済界に呼びかけたのも、その懸念の表れなのだろう。
(独)労働政策研究・研修機構人材育成部門の小杉礼子副統括研究員は「現在の日本の若年失業率は、イギリス・アメリカ・ドイツとほぼ同じ10%だが、イギリスやアメリカは長年、高い失業率に苦しみながらいろいろな対策を行った結果、現在の水準に下がってきているのに対し、日本は90年代半ばから徐々に上昇しているという違いがある。失業率は景気の関数だから、好景気になれば中年層の失業率は下がる。しかし、若年者の失業率は一度上がってしまうと好景気になってもなかなか下がらないことを各国は経験してきた。若年者の雇用対策には今後も膨大な経費を必要としよう」と指摘している。
非正規社員でもなんとか生活できるとか、ニートでも親に寄生すればという若者の意識を変えるのは、確かに至難の業を必要とする。しかし、彼らが所帯を持たないままだと、生産人口は低下の一途を辿っていく。日本の将来のために、雇用政策の優先順位は慎重に決定すべきである。
政権が変わるごとに、規制強化や緩和が繰り返されているのをみると、国民誰もが、国会議員の活動をもっと注視しなければならない、という感じがする。