【主張】「割増50%」拡大は慎重に

2014.09.22 【社説】
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 1カ月60時間を超える残業時間に対する割増率50%以上の中小企業への適用拡大問題に経営者の関心が集まってきている。先ごろ東京商工会議所がまとめた国への政策要望(本紙8月4日付け2面に既報)では、長時間労働の要因が業種や職種、企業規模によって異なり、一律に規制強化しても効果はないと訴えた。

 割増率50%以上の適用拡大は、さらに一定期間の猶予を設定するか、段階的に実施していくのが賢明である。

 過去の「ねじれ国会」において、1年8カ月を要して成立した現行の改正労働基準法(平成22年4月1日施行)では、長時間労働を防止するため、1カ月60時間を超える残業に対しては50%以上の割増賃金の支払いを義務付けたが、同法第138条と附則第3条により中小企業への適用を猶予中である。

 中小企業とは、資本金や出資金の総額が、小売業・サービス業で5000万円以下など、企業単位で判断する。

 今年7月に閣議決定した改訂版の日本再興戦略では、次期通常国会で労基法を改正すると明記した。ホワイトカラー・エグゼンプションの導入や裁量労働制、フレックスタイム制の規制緩和を行うとしている。各種規制緩和と並行して検討しているのが、この割増率の問題だ。実は、多くの中小企業にとって割増率引上げの方が、なにより影響が大きく関心が高い。

 従って次期通常国会での労基法改正は、大きな改正課題が多く、全体のバランスを勘案しながらそれぞれ着地点を探るものとみられるが、割増率50%以上の適用拡大については実態が伴っておらずそう簡単ではないだろう。

 昨年、厚労省が実施した労働時間等総合実態調査によると、1カ月60時間を超える残業に割増賃金率の定めがある企業のうち、「50%以上」としているのは大企業で90%を超えているものの、中小企業では9%に留まっている。

 附則でいつまでも例外扱いを続けるのも問題があるが、実施企業割合が1割の状況での一律義務化には無理がある。支援策と周知・啓発を積極化し、まずは環境整備に時間を掛ける必要がある。

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平成26年9月22日第2986号2面 掲載

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