【主張】異常な公務員残業は埼玉だけか

2014.07.28 【主張】
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 勇上和史神戸大学准教授と佐々木昇一同研究員は、独立行政法人労働政策研究・研修機構の日本労働研究雑誌(13年637号)に「公務員の働き方と就業動機」と題する論文を発表している。その中で公民の週平均実労働時間を調査しており、興味深い。

 最新の数値は、10年で平均週実労働時間は公務員が46.7時間で民間の46.2時間をわずかに上回っている。00~08年にかけて民間の週実労働時間は、調査年にかかわらず46~47時間でほぼ一定しているが、公務員のそれはおおむね民間の平均値を下回っていた。

 厚生労働省雇用均等政策課の女性課長補佐が、霞が関官僚の「国会答弁用資料づくりに伴う長時間残業はムダ」とワーク・ライフ・バランスの必要性を呼び掛けていることが、一部日刊紙で報道された。反面で役人天国を謳歌しているのはさいたま市職員。5月20日付読売新聞埼玉県西版によると、市職員の中で13年度1年間に1723時間の時間外労働を行った男性職員が紹介されている。このほか1000時間を超えた職員は37人に上るが、これは前年に比べて38%減少した結果というから驚かされる。かくしてこの男性職員(主事級)は給与(約505万円)のほか、約427万円の時間外労働手当を手にした。県職員も同様で、11年には時間外労働2017時間、手当740万円という猛者がおり、12年にも時間外1485時間、手当513万円ということがニュースになった。

 費用対効果を旨とする民間では考えられないし、給与並みの残業代をせしめたにもかかわらず、過労死に至ったことは報告されていない。どんな労働態様だったのか、直接説明していただきたいところだ。県知事は「きわめて熱心に仕事をしているのだが、誰がみても異常」ときめつけ、市では、時間外労働が一部の職員に偏っている部署には改善計画や経過報告を求めるというが、目標は「残業1000時間超を減少したい」とお役所ながらのぬるま湯的対応である。埼玉県民のひとりとして切歯扼腕しているが、読者各位はどうご覧になるか。

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平成26年7月28日第2978号2面 掲載

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