【主張】目標達成に大きな”意義”

2015.06.15 【主張】
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 厚生労働省は、平成26年の労働災害発生状況を公表(本紙5月25日付1面既報)した。死亡災害、死傷災害、重大災害ともに前年を上回り、三重苦の状態にある。

 第12次労働災害防止計画では、死亡・死傷ともに25~29年度の5年間で15%以上削減する目標を立てている。毎年3%ずつ削減する予定だったが、まる2年を経過した段階で、この道筋を大きく外れてしまった。第12次防の基準年である24年と比較すると、死亡災害で3%減少、死傷災害で0.04%減少に留まっているのが実情だ。

 目標達成に向けた正念場は中間年に当たる27年度である。今年度において想定を上回る大幅削減が達成できない限り、第12次防の計画達成は難しくなる。厚労省による行政指導の強化は当然として、企業や業界団体自身もコンプライアンスを向上させ、労働環境改善に全力を傾ける必要があろう。

 労災発生状況を細かくみると、死亡災害では、陸上貨物運送業で前年比23%増、建設業で同10%増とかなり厳しい状況にある。死傷災害では、小売業で同2%増加、製造業で同1%増加だった。事故型では、転倒が同4%増加している。

 ただ、26年は特殊事情があった。景気が急拡大したり、大雪被害があった1~3月期に労災が集中していたのである。27年の1~3月期は、26年同期比で死亡災害29人減、死傷災害約1700人減となっており、この点は今後に期待が持てる。

 東日本大震災の復興需要や東京オリンピック・パラリンピックに刺激された公共投資、住宅投資が拡大する傾向にあって、労災を減少させるのは至難の業と考えられる。まして建設人材の確保・育成が難しいとなれば、労災リスクはさらに高まっていくだろう。

 しかし、27年度の労災防止に官民が全力を傾け一体となって取り組み、最後まで諦めずに第12次防の目標達成をめざしたい。労災の撲滅こそ労働行政の最大の目的である。景気や投資拡大の影響を跳ね返してこそ目標達成に大きな意義がある。

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平成27年6月15日第3021号2面 掲載

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