【主張】商業災防協の設立拡大を

2015.04.06 【社説】

 栃木・宇都宮労働基準監督署管内の商業施設63団体が参集し、「商業労働災害防止協議会」が発足した(本紙3月23日号3面既報)。関東圏では、初めての試みで、全国的にも珍しいとされており、これを契機に同様な組織の設立拡大を望みたい。

 同協議会の設立目的は、会員である「商業事業場」の労働災害防止活動を推進することによって、労働者の福祉増進、企業の健全経営の実現につなげることにある。会員企業には、福田屋百貨店、東武宇都宮百貨店、栃木トヨタ自動車、宇都宮ヤクルト販売、大塚製薬宇都宮出張所など管内の有力な第三次産業が名を連ねており、期待できる。

 第三次産業の労災防止活動の大きな弱点となっているのが、小規模事業場の数が多く、しかも事業場間の横のつながりが希薄であることが指摘できる。団体・組織としてのまとまりがないため、統一した行政指導が難しいのが実情である。転倒や腰痛などといった比較的軽微な労災が中心なため、事業主の姿勢も甘くなりがちだ。

 一方、従来から労災防止の重点対象とされてきた建設業や製造業では、業種別団体による自主的労災防止活動が盛んに行われてきている。行政指導もこの団体を通じて周知させることにより効率化され、大きな成果を生んできた。第三次産業の労災防止活動と大きく異なる点だ。同協議会の設立は、第三次産業のこうした弱点を克服するひとつの試みといえよう。

 厚生労働省では現在、第三次産業の労災防止対策に力を入れているが、思ったような成果が出ていない。第12次労働災害防止計画では、労災件数を平成29年までに15%減少(24年比較)させるとしているものの、第三次産業の労災防止活動の遅れが大きな要因となり、26年が終了した段階でその目標達成が危うくなってきた。

 同協議会設立を主導してきた同労基署の小林茂署長は「横のつながりを強めて対応してもらえることはありがたい。労災防止の相互交流を深めてもらいたい」と本音を話した。この取組みを早く全国に広げる必要がある。

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掲載 : 労働新聞 平成27年4月6日第3011号2面

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