【主張】摘発で失った名誉回復を急ごう

2013.07.15 【社説】

 銀行の不払い残業問題については、昭和52年2月、適用除外となる労働基準法第41条第2号に定める管理監督者に当たらないとして、かなり膨大な行政解釈が出され、摘発が行われた。久しぶりに本紙7月1日号3面のサイドニュースに登場している。

 報道によるとかなり巧妙なもの。愛媛・新居浜労働基準監督署の調べでは、摘発された銀行は、出退勤をパソコンのログオン・オフ記録と各人が入力する労働時間記録の両方で把握。残業を行う場合は、責任者にメールで時間数を申告し、承認を得る仕組みになっていた。通常の手続きを経ずに電源を直接押してパソコンを切った場合、ログオフ記録が残らない。実際の残業時間よりも過少に申告する労働者がいたという。同銀行はこれを知りながら放置し、労基署への通報に結び付いた。

 自己申告の場合、「会社は、把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているかどうかを必要に応じて実態調査しなければならない」(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準=平13・4・6基発第339号)。この基準は通称四六通達といわれて周知されているがいっこうに不払い残業問題が減らないため、再度「賃金不払い残業の解消を図るために講ずべき措置に関する指針」(平15・5・23基発第0523004号)を発出した。これには、責任体制の明確化とチェック体制の整備が強調されている。

 「賃金不払い残業の解消を図るためには、各事業場ごとに労働時間管理の責任者を明確にしておくことが必要である。とくに不払い残業が現に行われ、または過去に行われていた事業場については、例えば、同じ指揮命令系統に無い複数の者を管理責任者とすることにより牽制態勢を確立してダブルチェックを行うなど厳正な体制の確立を図る」。

 ただ、その後も後を絶たないため馬の耳に念仏化しているのが実態だ。当の銀行の不払い額は300万円とわずかだが、その数十倍に達する不名誉となった。コンプライアンス意識を徹底し、地場の経済をリードする気概を早急に取り戻してほしい。

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掲載 : 労働新聞 平成25年7月15日第2929号2面

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