【主張】雇用増へ国と地方一体に

2015.10.26 【社説】

 国と地方自治体の連携強化による産業振興、雇用創出の動きが広まっている。昨年末に成立した地方創生関連法案では、地方に仕事を作り、地方への新しい人の流れを作ることが課題となっている。国と地方が一丸となって取り組むことはその前提であり、さらにすそ野を拡大していってもらいたい。

 実際に連携の成果も出始めている。奈良県と奈良労働局の取組みをみると、同県に立地を検討している企業に対して、労働局側が近隣市町村における求職者の動向を提供し、産業雇用対策の立案に役立てている。長崎県と長崎労働局では、同県の基幹産業である造船業を、グローバル化に対応した高付加価値型産業に転換するため、必要な人材の確保育成に共同して当たっているという。

 国と地方との連携メニューとしては、地方が誘致した企業の人材確保といった典型的なものから、就職面接会やセミナーなど各種イベントの共催、要望に応じた求人一覧の提供、大規模な雇用調整が発生した場合の共同対応なども考えられよう。

 こうした動きを後押しするため、首都圏や関西圏の人材一極集中緩和対策も始動している。首都圏に在住する若者に直接働きかけて地方就職希望者の掘り起こしを図っているほか、新設した移住・交流情報ガーデンでは、相談員の配置、地方情報の提供などをスタートさせている。東京都と大阪府に地方就職支援コーナーも新設済みだ。

 人口急減・超高齢化に直面しているわが国において、一極集中を乗り越えた地方創生こそが何より求められている。いつの時代でも、わが国を動かしてきたのは「地方」であった。地方が自ら行動し、地域の特性に合わせて産業の育成を図り、人材を糾合し、活性化を図っていくことが何より重要である。これらの施策により50年後に人口1億人維持をめざすとしているのだ。

 国は、地方に対する人的・財政的支援を惜しんではならない。地方の強みを見極めて、それぞれの実情に合った形で全国ネットワークを活用していくことが求められる。

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掲載 : 労働新聞 平成27年10月26日第3038号2面

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