【主張】経団連が職務発明で覚醒を促す

2014.06.09 【社説】
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 経団連は、企業に対し職務発明者の貢献に対する評価と処遇を適切に講じていくべきとする声明を発表した。昨年6月に閣議決定した「知的財産に関する基本方針」に対応したもので、イノベーションの源泉は「従業員」にあることを再確認すべきとした(本紙3月10日付1面参照)。

 特許法35条は、職務発明に関して規定しているが、1項で「使用者は職務発明について、その業務範囲に属する従業者等が特許を受けたとき、その特許権について通常実施権を有する」としながら、4項で「職務発明について特許を受ける権利等が行われた場合に支払われる対価について契約、勤務規則等で定めることができる」が、従業者と使用者との間には、その有する情報量や質、交渉力に格差が存在することから、対価の決定についてそのすべてを私的自治に委ねるのは適切でないとし、「相当の対価と認められるためには、その対価が決定されて支払われるまでの全過程を総合的に評価し、不合理であってはならないこと」としている。

 この職務発明については、発明者と使用者の間で、「対価」で多くの争いがある。なかでも、使用者の心胆を寒からしめたのは「青色発光ダイオード事件」である。初審の東京地裁(平16・1・30判決)は、被告会社が特許発明を独占することによる利益を1208億6012万円、と算出しその対価は2分の1が相当としたから、実に604億3006万円が相当の対価となり、原告(従業員)の予備的主張を満額認めて200億円の支払いを命じたからだ。さすがに控訴審では、和解によって8億4000万円に落ち着いたが、これでもかつて例をみない巨額となった。

 和解時点では、既に原告は米カリフォルニア大教授に就任しており、頭脳流出の面でも使用者にショックを与えている。こうした面も踏まえ、経団連の声明を捉えたい。先進各国でも、特許発明の帰属はバラバラでそれなりに頭の痛い問題のようだ。わが国はイノベーション分野でトップグループといえ、日常茶飯事に生じる恐れがある難問だ。声明を警鐘ととりたい。

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平成26年6月9日第2972号2面 掲載

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