【主張】まだ続く外国人実習制度の悪用

2014.02.17 【社説】

 外国人技能実習制度は、1981年、海外に支店や関連会社のある企業が出入国管理法にいう在留資格「留学」のもとで、技術研修生として受け入れることに端を発した。当時は、今でいう企業単独型であり、「主に開発途上国から外国人を招いて、各種の技能・技術等の習得を援助・支援して人材育成を行い、わが国が有する汎用性の高い技術を移転することで国際社会に貢献する」という高邁な趣旨に基づいて運営された。89年の入管法改正により、独立した在留資格「研修」が設けられ、今日の姿が形成された。

 91年には法務省告示により、企業単独型に加えて海外企業と関係のない中小企業でも、事業協同組合や商工会議所などの中小企業団体を通じて研修生を受け入れる団体監理型が登場することになった。職種も大きく膨れ、10年末の時点では66種123作業を数え、高邁な理想に基づく単独企業型には、およそ縁のないもので占められることになった。農業関係の畑作・野菜、酪農、建設業関係の大工、タイル張り、繊維衣服関係の織物・ニット浸染、靴下製造など非熟練労働が並ぶと「汎用性の高い技術移転」のイメージは湧いてこない。同時に団体監理型の一部受入中小企業には、不心得者も入り混じることになった。12年に厚生労働省が行った立入調査によると、不正行為は企業単独型ゼロ、残りが監理型だが監理団体9機関(4.6%)、実習実施機関188機関(95.4%)という惨憺たる結果となった。この間制度の見直しが図られ、3年の全期間にわたってすべて労働関係法制が適用となり(10年)、これでも減少したというから開いた口がふさがらない。

 最近、一般紙に報道された事案は極めつきのもので、受入団体のいなほ共同組合元理事長が、実習生の給与を中抜きして横領したというもの。警視庁は組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の隠匿)容疑で逮捕したというから、確信犯であり、例外中の例外といえるが、割増賃金不払いなどの多発は本紙が伝えたところであり、不正行為の7割以上が労働関係法違反となっている現実は、目を覆うばかりだ。

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掲載 : 労働新聞 平成26年2月17日第2957号2面

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