【主張】失踪者の増加に歯止めを

2014.11.17 【主張】
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 外国人技能実習制度に新たな心配事が浮上してきた。国際研修協力機構の集計結果(本紙10月27日付3面既報)によると、2013年に「技能実習」で在留している外国人は15万5000人ほどで前年比2.5%増加したが、失踪者が同じ年に84%も増加し、2822人に達した。

 バラツキはあるものの、これまで毎年1500人程度の失踪者が発生していたが、ここにきて急増しているのが気になる。しかもこの数字は、入国後2~3年目の技能実習2号だけを集計したもので、1年目の技能実習1号は対象に含まれていない。

 失踪者だけではない。不法残留者もめだっている。2014年1月時点の全体の不法残留者は約5万9000人で前年を5%程度下回ったが、在留資格別の不法残留者をみると、「技能実習」が唯一増加している。

 失踪者の多くは、より高賃金の働き口を求め、関係するブローカーを介して職場を移動するとみられている。違法ブローカーに対する取締まりは当然強化しなければならないが、一方で実習生受入れ事業所としても実行すべき失踪防止対策が少なからずある。端的にいえば、実習生とのコミュニケーションを強化し、不安や不満を取り除いてやることだ。

 実習生から寄せられた相談内容のおよそ半分は、労働条件などに関するトラブルで占められているのが実態。「聞いていた労働条件とは違う」「残業代が1時間350円で支払われている」「賃金からの控除が高すぎる」といった訴えである。

 法令違反は論外としても、先進技能を身に付けようと、文化も風習も違う日本に希望を持って入国して来たのに、毎日、不信感が募っていくようでは引き止めることも難しい。雇用契約書を交付するときは、母国語により労働条件などを納得いくまで説明し、その後も上長によるフォローを十分に行って、不安や不満を抑制していくしかない。

 外国人技能実習制度の拡大が既定路線となっているなかで、失踪や不法残留の増加がネックとならないよう十分気を付けたい。

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平成26年11月17日第2993号2面 掲載

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