【主張】積極的な”和解勧奨”実る

2016.07.25 【社説】

 東京都労働委員会の平成27年における不当労働行為審査事件処理で、「関与和解」が大幅に増加したという(本紙7月4日号2面既報)。生活水準や労働条件が向上していくとともに集団的労使紛争が減少傾向となり、労働委員会の存在感が薄れ始めているのが現状といえる。都労委の和解に向けた積極的取組みは、労働委員会の今後のあり方を示すものとして高く評価したい。三者構成による公正性・信頼性を前提とした迅速な和解実績を積み上げていけば、新たな道が開かれる。

 都労委によると、不当労働行為審査事件440件のうち、27年において139件が終結し、そのうち95件が「和解」によるものだった。都労委が仲立ちをした「関与和解」は、84件に上り、終結事件全体に占める割合は過去10年で最高の60%に達している。

 都労委では、近年の景気回復による労働条件の改善が背景にあるとしているが、委員や事務局の取組み姿勢が大きく作用しているのは明らかである。従来から当事者間において和解の機運を読み取った場合に積極的にこれを後押しする態勢をとっており、その成果が実ったと考えられよう。不当労働行為救済申立ては、そもそも深刻な労使対立の末に表面化するものであり、そう簡単に和解には至らないはずだ。労使関係の専門家が和解の可能性を探り、的確な解決案を提示できたからこそである。

 和解の増加は、紛争処理日数の短縮にも大きく貢献している。不当労働行為申立事件のうち全部救済した場合は平均653日、一部救済では平均1119日もかかるが、「関与和解」は平均450日と短い。処理日数は、全体として短縮傾向にあるが、和解増加の影響も少なくない。

 本来的に和解は、紛争解決に向けて労使が真摯に協議し、納得したうえで協定を結ぶものである。紛争が全面解決するばかりか、将来に向けた労使関係の安定にも大きく寄与していくであろう。救済命令の伝家の宝刀を抜く前に強力に和解を勧め、これが幅広く実現できれば、再び労働委員会の存在感が高まっていくだろう。

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掲載 : 労働新聞 平成28年7月25日第3074号2面

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