【主張】お金持老人と継続雇用者の実態

2014.01.27 【社説】

 振込め詐欺の名称が、公募の上、卑劣極まりない犯罪なのに、「母さん助けて詐欺」というなんともしまらないものに変わってしまった。もっとも、犯罪行動の分析によると、振込型は4割で、現金受取型が5割に達しており、大方は受け入れているようだ。それにしても、何千万円単位の現金をすぐさま用意できる高齢者の資金力には驚かされてしまう。1200兆円余といわれる国民の個人資産の大半を高齢者が握っている、といわれるが的外れともいえないようだ、よく新聞紙の間に挟まれたままの札束が、ごみ焼却場で発見される。これも認知症の老人が家族に内緒でへそくり、そのまま放置されたもの、というのが通説である。

 本紙平成25年6月17日号の「攻略!改正高年法」に寄稿されている安西愈弁護士の主見出し「5割程度での水準も可」には、不明を恥じ入らざるを得なかった。5割というのは、継続制度における賃金契約において、定年時の半分程度でもいい、ということを意味している。小欄は、定年後嘱託とはいっても、6割程度はもらえると端から思っていたからだ。同号で参考資料として提示してあった労働政策研究・研修機構の調査(08年)でも、定年時を100%とした時の継続雇用初任賃金の水準が「5割未満」とするところは、7.2%の超少数派だから、あながち不見識なものではない。ちなみに厚生労働省がまとめた賃金構造基本統計調査(平成24年)によると、60~64歳の年齢階級別賃金は約38万円、ピーク時の63%である。平成23年度の厚生年金加入40年夫婦のモデル受給額は、約23万円となっている。契約時の賃金が定年時の5割程度でも、また、年金の報酬比例部分に頼らずとも、サブ見出しにいう「公序良俗に違反しない」。

 厚労省の高年法改正Q&Aには「雇用継続制度の導入を求めているのであって、合理的な裁量の範囲で事業主が労働条件を提示していれば、労働者が合意せず、破談になっても同法違反の問題は発生しない」と寄稿は括られている。裕福なふつうの高齢者とは次元の異なる話だが、これも現実である。

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掲載 : 労働新聞 平成26年1月27日第2954号2面

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