【主張】個別賃金にこだわる春闘を期待

2013.01.21 【社説】

 ユニクロ・楽天・数多の牛丼・100円寿司・ダイソー等々、年収200万円以下の収入しかない1100万人のワーキングプアをターゲットに、デフレ長者が日本経済の主役の如く闊歩している。

 かつて輸出大国日本は、鉄鋼・造船の重厚長大産業がリードし、家電・車がそのあとを追っていた。1965年から19年間続いた第二次高度経済成長当時、重厚長大産業は勢いを徐々に失い、テレビ・冷蔵庫・洗濯機の3種の神器や自動車が輸出大国内で君臨していた。そして今日、ものづくり大国は、他国の労働力を頼りにするに至るほど疲弊してきている。

 ワーキングプアは、非正規労働者で構成されているが、15年以上も続くデフレスパイラルによって、正規労働者への分配率が停滞し、同じ生活環境に陥りつつある。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2011年の正規労働者の賃金は、1997年に比べ4.1%も減少している。年間の世帯所得はピーク時から100万円以上低下しているというから、労働者の購買意欲も比例して低下し、企業収益の低下→物が売れないのスパイラル現象となった。

 組織労働者の総元締めの連合は、今年春闘方針を構築するに当たって、「痛んだ雇用・労働条件」の復元を合言葉(本紙平成24年12月24日号6面コラム=須田孝総合局長)とし、「個々人に対する労働の対価としての賃金水準が世間並みであるかどうかは、個別賃金で比較しなければ分からない」。賃金の上げ幅云々では格差の是正ができないため「賃金水準の絶対額」にこだわっていく、としている。

 結婚ができない、できても収入の裏付けのある健全な家庭を築けない。労働者の怒りは頂点に達したようである。
新政権に代わって早速10兆円の国債買入れ基金増額を決め、日銀はお札を刷って市場に投入するというが、15年続いたデフレから脱却ができるか、国民は疑心暗鬼の状態だ。

 労使協調路線を維持する上で、年齢ポイントごとの個別賃金が保障されるような経済を望みたい。「痛んだ雇用」と直言されて黙り込むような経営であってはなるまい。

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掲載 : 労働新聞 平成25年1月21日第2905号2面

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