【道しるべ】早期対応 熱中症には5月中の死亡例も

2012.05.01 【ひのみやぐら】
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 いささか気が早いといわれるかもしれないが、熱中症防止についてふれておきたい。一般的には発症が梅雨明けから盛夏にかけてといわれるなか、5月での罹患・死亡もあると聞くからである。

 この気象病の原因・症状・予防に関しては、既にこと細かな説明がなされていて用心の仕様を知らぬ人とてないぐらいといっていい。

 でありながら、産業現場では(平成21年の8人を除けば)毎年のように2ケタ台の死亡者を出し、とくに一昨年(同22年)には過去最多の47人にも及んでいる。いかに世界的な猛暑に見舞われたとはいえ、前年から急転しての死亡者6倍増は関係者を慌てさせた。

 そのときの発生状況と原因をまとめた厚生労働省の調査資料がある。そこでの分析には死亡につながった人的・管理的要因に言及した一項があり、改めての予防策徹底が求められている。

 調査によると、死亡者47人のうち①45人については「WBGT値の測定を行っていなかった」、②39人については「自覚症状の有無に関わらない定期的な水分・塩分摂取をしていなかった」、③33人については「計画的な熱への順化期間が設定されていなかった」④17人については「糖尿病等の熱中症の発症に影響を与えるおそれのある疾病を有していた(疾病の影響の程度は不明)」、⑤4人については「体調不良、食事の未摂取または前日の飲酒があった」ことなどが明らかにされている。

 ①のWBGT値とは、気温・湿度・風速・輻射熱を総合的に測定したうえで身体作業強度などに応じた暑熱環境の基準値(℃)を示したものである。計測機器を使ってのWBGT値測定は今や“予防管理の要”だともいわれている。

 他の4点は防止策の不在や省略、あるいは警戒心の薄弱さを窺わせる内容だが、どれにしても不実行と認識不足が最悪な事態への可能性拡大を示唆している。今年は、最低限の実施・順守事項を再確認しながらの早期対応でいってみてはどうだろう。

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平成24年5月1日第2161号 掲載

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