【道しるべ】震災対応訓練 リスク・対応レベル引き上げて

2011.04.15 【社説】
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 受難回避と安全の保障を考えるうえで、やりきれなくなる被害があった。東日本大震災における三陸海岸地域の災禍である。大船渡市をはじめとする市町村では、チリ地震津波(1960年体験)などから、これまで津波に備えての訓練を怠ることがなかったという。毎年、折々の実施を通じて防災意識を高めていき、大防波堤の築造と各地避難場所の設置も進んで、住民には安全を自負して疑わない気持ちがあったともいわれている。

 それが、今度の巨大地震と大津波との遭遇では、なすすべもないままに多くの人たちの生命が奪われることになってしまった。恐らく、想像をはるかに超えた天災は人々に無力感を強く残し、長年にわたる備えも瞬く間に無に帰してしまうものかと悲嘆させたに違いない。

 が、これは現地にあった人たちの想いであり、それをもって防備の限界や要不要まで云々してしまうのは早計に過ぎ、子供じみた極端な発想で危険ですらある。むしろ、今こそ熟考すべきなのは、3月11日以前まで当地が取り組み蓄積してきた防災施策の仔細に目を向けて習い、さらにリスクと諸対応のレベル引き上げたマニュアルを新たに作り、実践的な訓練を重ねることだろう。これは国や地方自治体だけではなく、一般企業や地域住民集団も念頭に置いての話である。

 本誌では今回、地震発生後の動きを何十社かに伺った。なかで印象に残ったのは、「弱点を直視して実施内容を練り直し、現実的な訓練を続けたからこそ初動の段階からスムーズに対応できた」という会社の例。揺れの大きさに差異はあったにせよ、防災システムの整備と行動訓練に十全を期したことが効果を発揮したのである。

 しかし、阪神・淡路大震災の5年後、当時の国土庁が企業の防災対策について調査したところ「不十分」との答えが約半数、防災活動の気配すら窺えない企業も少なくなかった。防災には“衝撃過ぎて後の風化”を警戒する“意識の訓練”も併せて必要か。

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平成23年4月15日第2136号 掲載

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