【助言・指導 あっせん好事例集】パワハラにより発症した可能性のある精神疾患の休職期間満了による解雇をめぐるあっせん事例

2020.05.04 【助言・指導 あっせん好事例集】
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普通解雇

申請の概要

 申請人X(労働者)は5年前にタクシー会社Y(被申請人)に乗務員として採用され、勤務してきた。Xは部長から「挨拶がなっていない。売上げをもっと上げろ」など、たびたび怒鳴られるというパワーハラスメントを受け、体調を崩してしまった。仕事を休みがちになったため、Yから解雇を通告されたが、納得できず、知人に相談しながらYに意見を伝えていた。

 すると、社長から連絡があり、話し合いを行った結果、解雇を撤回するので体調が良くなったら職場へ戻るように言われたため、Xはこれに応じ、休職することとなった。Xは休職していたところ、11月3日に部長から連絡があり、11月末までに退職届の提出と健康保険証の返還を命じられたが納得できず、これを解雇と受け止め、あっせん申請を行った。Y社で働き続けるつもりはないが、通院する必要があり、今後の生活補償をしてほしい。

紛争当事者の主張

申請人X(労働者)

 部長からの「挨拶がなっていない。どういう仕事の仕方をしているんだ。売上げをもっとあげろ」など、パワーハラスメントにより精神的苦痛を受け、体調不良により休みがちになった。売上げを伸ばすよう客待ちする場所を変更するなどの努力はしていたが、競合する会社が多いためなかなか難しかった。このような状況で勤務を続けていたが、徐々に体調は悪化し、主治医からは休業するよう命じられた。解雇はいったん撤回され、傷病手当金の支給を受けながら休職していたが、11月に再び解雇ともいえる通告を受けた。

 解雇予告手当相当額30万円、年次有給休暇の残日数15日分の買い取りとして20万円の支払いおよびパワーハラスメントによる精神的苦痛に対する慰謝料50万円の合計100万円の支払いを求め、さらに、会社都合の退職を認めることを求める。

被申請人Y(事業主)

 就業規則には「休職期間は3カ月を限度とし、回復しない場合には自主退職とする」と定めている。Xに対しては、就業規則に規定する休職期間をさらに3カ月延長して様子を見ていたが、いつまでも延ばすことはできなかったため、「復職できない場合は11月末で退職すること」と説明し、合意を得ていた。その後、Xから何の連絡もなく、また、連絡が取れない状態が続いたので退職するよう求めただけであり、解雇したわけではない。

 なお、部長からパワーハラスメントを受けたとのことで、社内調査を実施したが、その事実は確認できなかった。一定の金銭解決に応じるつもりはあるが、会社都合の退職に応じるつもりはない。

あっせんの内容

 労働契約を終了するという点では、両者に争いがなかったため、被申請人Yが支払う解決金の額と退職理由についての調整が必要となった。あっせん委員はパワーハラスメントの事実の有無の証明にとらわれることなく解決に向けた歩み寄りを双方に促し、Yには金額面での譲歩を求め粘り強く説得を行った。

 あっせん委員が調整を行った結果、Xが辞表を提出することとなり、Yも金銭的な歩み寄りを見せ、合意が成立した。

結果

 あっせんの結果、申請人Xは11月30日付けの自主退職とし、被申請人YがXに45万円支払うことで合意がなされた。


 パワーハラスメントの事実の有無の証明にとらわれることなく、あっせん委員が双方に粘り強く歩み寄りを求めて調整を行った結果、両者が納得して自主退職扱い、解決金45万円の支払いで合意が成立した。


※この記事は弊社刊「都道府県労働局による 助言・指導 あっせん好事例集―職場のトラブルはどう解決されたのか」(平成24年3月30日発行)から一部抜粋したものです。

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