【主張】O-NETで転職拡大へ

2020.04.09 【主張】
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 本紙報道によると、厚生労働省が職業情報提供サイト「日本版O-NET」をスタートさせた(4月13日号1面)。仕事内容、平均収入などの職業に関する基礎情報や求められる知識・スキルに関する定量的データを検索・参照できるサイトとしている。

 今後、わが国に求められる転職・再就職の規模拡大に向けて職業情報の飛躍的な「見える化」を提供するものだ。求人・求職の効果的なマッチングの促進が期待できる。企業にとっても採用を中心とした人事管理面などで有用な情報が得られると考えられ、活用を呼び掛けたい。

 アメリカ労働省が2003年から運営する職業情報サイト「O*NET」を手本として制作したという。アメリカの場合、約900職種について数値化したデータを提供しているが、日本版では約500職種だ。

 わが国は現在、厳しい人口減少のなかで、安定的経済成長の実現が求められている。一人ひとりが有する能力を最大限に活かし、国全体の労働生産性向上を図ることが絶対条件といえよう。厚労省の分析では、労働移動が盛んな国ほど生産性が高いとされているため、単線型の日本のキャリアパスを改めて、転職・再就職により多様な雇用機会の拡大を図っていくことが重要となっている。

 転職・再就職の拡大にとって決定的に欠けていたのが、大規模で体系的な職業データ集である。多方面にわたる情報収集とAIを活用した詳細な調査・分析によって、職務を遂行するために必要な知識・経験・スキルを提示し、広く公開される必要がある。

 「日本版O-NET」は、こうした要請に応えるため、長期にわたって調査・検討が行われ、ようやくスタートに漕ぎ着けた。まだ、十分なデータが取り出せない部分もあるが、今後の蓄積に待ちたい。

 企業による活用としては、約500の職業情報に基づき人材の職務要件(仕事内容、必要なスキルや知識など)が明確化できる。将来あるべき人材像を明らかにし、そのために必要な人材配置、教育訓練などを検討するシミュレーションも可能という。

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令和2年4月20日第3253号2面 掲載

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