【主張】低賃上げの最大要因は…

2020.03.26 【社説】
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 20年賃上げ交渉の集中回答日であった3月11日、前年を下回る妥結が相次いだ。機械・金属35万人を擁する産業別労働組合JAMの集計によると、賃上げ額平均は前年を300円、約5%も下回っている。とくに中堅規模企業での落ち込みが厳しい状況だ。

 厚生労働省の最終集計では、前年まで6年連続2%を超える賃上げ率を維持してきたが、厳しい見通しとなってきた。政権の最大の目標であったデフレ脱却の掛け声とともに進められてきた賃上げ交渉であったが、ここで挫折せざるを得ない。政治に結果が問われるとすれば、政権責任は極めて重大である。

 連合の第1回目の全体集計結果でも、平均賃金方式で回答を引き出した組合の加重平均は5841円、賃上げ率1.91%だった。昨年同期の賃上げ率は2.05%である。ここ7年で最も低い数値となった。厚労省の最終集計で賃上げ率2.11%だった17年の水準に及んでいない。

 今季労使交渉は、直前で大ブレーキ要因が重なってしまった。なかでも予期せぬ新型コロナウイルスの感染拡大は強烈である。引き続く株価の世界的暴落も企業経営の先行きに対する不安を増長させた。回答に影響を及ぼしたことは否定できない。

 組合幹部は、交渉環境悪化の中で「前年並み回答を獲得できた」とコメントしているが、額面どおり受け止めることはできない。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大などは、避けられない外的要因で致し方ないといえる。最大の下振れ要因は、国内経済対策が不十分に終わったことにある。

 昨年10~12月のGDP(国内総生産)の落ち込みは、年率で7.1%と、東日本大震災を上回る驚くべき数値となってしまった。デフレスパイラルの再来を想起させる下落であり、決定的である。

 今季交渉で労使がともに奮闘したことは認めるが、ここ7年間全体としても結果的にデフレ脱却には程遠い水準に終わってしまった。責任を労使だけに負わせることはできない。消費拡大による景気浮揚に失敗し続けた経済政策に起因している。

令和2年4月6日第3251号2面 掲載

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