【主張】在老年金の調整幅縮小を

2019.11.28 【社説】
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 臨時国会で在職老齢年金制度見直し案への批判が強まっている。老齢年金支給停止となる基準額を引き上げることによって「高所得高齢者」の年金は増えるが、それ以外の大多数の年金が広く浅く減額される可能性がある点が問題視されている。

 しかし、ボーナスを含む収入50万~60万円が、果たして高所得といえるか疑問である。70歳までの就労が国の重要課題となっている以上、65歳以上高齢者の就労意欲を促進する見直しを優先すべきである。

 在職老齢年金制度は、賃金(ボーナス含む)と年金の合計額が基準額を上回る場合、年金支給額を調整する制度である。現在の基準額は、65歳以上で47万円としているが、今回の見直し案によると、当初の62万円から51万円まで落とした。

 厚労省の試算では、基準額を当初の62万円に引き上げた場合、年金支給停止額は現在の約4100億円から約1900億円に、支給停止対象者は約41万人から約23万人へ減少するとしている。基準額を51万円に落とすと、支給停止対象者は約32万人となる。

 野党は、支給停止が減少する分の財源が、「高所得高齢者」以外の圧倒的多数の年金減額で賄われる可能性があり高所得者優遇と批判した。

 厚労省は現段階で見直し内容を決定しているわけではなく、今後の国会審議などをベースに判断していくことになろう。加藤厚労相は記者会見で、高所得者優遇という批判に留意して引き続き検討すると話していた。

 しかし、65歳以上で就労し50万~60万円程度の収入を得ている高齢者が「高所得者」といえるか疑問である。多くは、中小零細企業の役員かそれに準ずる上位管理職と想定され、高齢にもかかわらず企業運営において重要な役割を担っていると考えられる。日本の産業を基盤から支える重要性から判断しても決して高所得とはいえない。

 企業に対し、70歳までの就労機会の提供を義務化しようとしている現在、65歳以上の高齢者の就労意欲を阻害する要因はできる限り縮小するのが筋である。

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令和元年12月2日第3235号2面 掲載

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