【主張】「人材開発局」新設に期待

2016.10.24 【社説】

 厚生労働省が、平成28年版労働経済の分析(労働経済白書)をまとめた。少子高齢化のなかにあって、わが国を成長路線に導いていくには、労働生産性の向上が「必要不可欠」と断言している。

 労働生産性を向上させるためには、労働者の教育訓練に率先して取り組むことが重要である。奇しくも厚労省では、29年度に「人材開発局」を新設して、企業の人材部門支援などを積極化させるという。今後は人材開発局の下で厚労省の総力を結集し、わが国の人的資本形成に全力を挙げてもらいたい。

 わが国の実質労働生産性は、OECD諸国と比較し最も低い水準にとどまっている。しかし、これは今に始まったことではない。わが国の唯一最大の資源である人的資本が、長期間にわたって伸び悩んでいることは明らかであり、いかにも対処が遅過ぎる。アベノミクスによって着手されたことが救いだ。

 労働経済白書によると、わが国の労働生産性が低水準にとどまっている背景として、2つの分野への投資不足を指摘した。IT関連などの「情報化資産」と「人的資本」である。人的資本形成では、とくに社外での各種トレーニングなどを意味するOffJTへの取組み不足が露呈している。

 将来のキャリア形成や昇進機会の拡大に向けた知識・技術習得など、現在の仕事には必ずしも直接関連しないが、潜在的パワーの増強につながる教育訓練に大きく後れを取っている。労働生産性がトップレベルにあるスウェーデンなど北欧諸国では、この分野の教育訓練が抜きん出て高水準にあるという。

 OffJTの活性化は、企業自体の教育訓練に対する取組み姿勢が決め手となるが、まずは厚労省による環境整備が求められる。現在の「職業能力開発局」から衣替えする「人材開発局」は、労働基準局、職業安定局にある人材育成関連部門などを統合し、全体としてパワーアップをめざす狙いと考えられる。労働者の職業能力開発という側面に加え、企業の人事部門支援のための施策を一層強力に展開すべきだ。

掲載 : 労働新聞 平成28年10月24日第3085号2面

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