他者を尊重する意識が重要/アレック社会保険労務士事務所 相原 伸弘

2016.08.24 【社労士プラザ】

アレック社会保険労務士事務所
相原 伸弘 氏

 「“もの”から“こころ”へ」、「物質至上主義から生命至上主義へ」と言われてから久しくなる。現代の労務管理において、生命の尊厳をどのように捉え、現実に反映させていくのかというテーマは、今後さらに重要なものとなるだろう。

 労務管理の構成要素は主に以下の3点に整理される。1つは「モラールの維持向上」であり、職場環境を整備することにより労働意欲の向上や士気向上を図ることである。次に挙げられる「生産性の向上」は、業務量に対しての適切な人員配置のことである。3つ目は「コンプライアンス」であり、労働基準法等の関連法規を遵守することにより企業リスクを回避することを意味する。特に最後のコンプライアンスに関しては、未払い賃金やパワーハラスメント等の労使間トラブルとして耳目に触れるところである。

 労務管理を運用するに当たり、まず使用者と労働者の双方は、それぞれ独立して存在し得ないことを確認したい。会社は社員がいて経営できるものであり、社員は会社があって労働し賃金を得ることができる。使用者と労働者は、互いに相手の存在があって自らが成り立つという共存の関係にある。各人がこの共存の関係を深く意識することは、他者をより尊重し、自らを律し、謙虚さを持ち続けることにつながるだろう。「おかげ様で」の精神である。

 また、私たちが忘れがちなのは、使用者と労働者は、立場が違っても皆一個の人間であることだ。私たちは皆が等しく生命体であるという共通点を持っており、同時に個々の特性を有している。自分自身を大切にするように他者の個性を大切に思い、積極的に他者の長所を発見し、また開発し、互いの個性を良い方向に伸ばし合うという意識を職場全体で共有したい。

 そのために重要なことは、対話を重ね続ける勇気を持つことだ。労使トラブルのきっかけが些細な誤解であった経験をされた方もいるだろう。早期に話を聴いていればトラブルを回避できたのではと省みる方もいるかもしれない。

 相互理解のために、労使、上司と部下、同僚間、社歴、職種、世代、性別、国籍等のあらゆる差異を乗り越えようとする各人の意志が、現代の労務管理の根底に求められているのではないか。

アレック社会保険労務士事務所 相原 伸弘【東京】

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掲載 : 労働新聞 平成28年8月15日第3077号10面

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