【主張】無駄ではない最賃引上げ

2016.08.18 【社説】
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 厚生労働省の中央最低賃金審議会(仁田道夫会長)は、平成28年度の地域別最低賃金引上げ額の目安を平均24円(前年度18円)、率で3%(同2.3%)とすべきとした「答申」を塩崎厚生労働大臣に提出した。

 28年6月時点で調査したパート労働者の賃金引上げ率が1.3%であること、現行最賃水準に留まるパート労働者が少なくないことなどを考慮すると、とくに地方中小企業にとっては極めて厳しい引上げ幅と考えられる。

 しかし、日本経済が再び迷走状態に陥りかねない現状を考えれば、助成金活用などによる設備投資や人的投資を強化して生産性向上を急ぎ、この大幅な最賃引上げを吸収せざるを得ない。

 厚労省によると、目安どおりに最賃が引き上げられた場合、時給を基準とするようになった14年度以降で最大の引上げになるという。全都道府県で20円を超える引上げとなるのも初めてだ。

 これによって、個別中小企業は、パート労働者などの賃金引上げが、早急に実施すべき課題となる。たとえば、大阪府や神奈川県、北海道では、現行の最賃水準付近に分布するパート労働者がそれぞれ10万人程度いると推測できる。新しい最賃が発効する今年の秋には、一気に引き上げる必要が生じてくる。厳しい経営により廃業する中小企業もめだつなか、決して簡単なことではない。統計データ上説明のつかない目安提示についても違和感はあろう。

 一方で政府は、アベノミクスの深化と景気下振れリスクの回避をめざす経済政策の一環として、最賃の年率3%上昇による雇用者賃金全体の底上げを重視している。同一労働同一賃金の実現による効果を合わせると、32年(2020年)には約17兆円に達する賃金総額の増大が見込まれると試算しているのだ。

 賃金総額の増大は、可処分所得を押し上げ、消費支出の拡大につながり、結果として企業の生産増加、収益の改善が可能となる。これによって成長と分配の好循環メカニズムが再構築されれば、中小企業の努力は決して無駄にならない。

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平成28年8月15日第3077号2面 掲載

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