【主張】賢明な納付金の方針決定

2019.03.07 【社説】
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 厚生労働省の審議会がまとめた「今後の障害者雇用施策の充実強化について」(意見書および法案要綱)によると、中小企業(50人以上)に対する障害者雇用納付金の適用対象拡大は、引き続いて「総合的に検討することが適当」との結論に達している。ペナルティーである納付金徴収を、障害者雇用の経験が少ない中小企業にまで拡大しようという方針が打ち出されていたが、今通常国会での見直しはなくなった。

 本紙では、従来から「厚労省が納付金の徴収対象拡大を議論しているが、当分の間先送りすべきである」(平成30年11月19日号本欄)と主張してきたが、審議会においてもこの見方が大勢を占めた。賢明な判断と評価したい。

 同納付金は、障害者の雇用に伴う経済的負担の調整と障害者の雇用促進を図るために民間企業から徴収しているもの。徴収額は、障害者数が法定雇用率を下回る場合において、不足数1人当たり原則として月額5万円である。

 加えて、厚労省では実雇用率の低い民間企業に対して、雇用率達成指導を行っている。雇入れ計画作成を命令し、同計画に沿って改善しない場合は最終的に企業名を公表している。実際に過去10年程度の間に30社を上回る民間企業名を発表した。要するに民間企業に対しては厳しい行政指導を実施しているのが実情といえる。

 これに対し、昨年明らかにした国の行政機関における障害者の任免状況によると、「不適切な取扱い」の結果、障害者の実雇用率は当初示していた2.49%から1.18%となり、不足数は3478人に達した。公的機関は、率先して障害者雇用に取り組まなければならないのに、裏切られた感が強い。この時期に実雇用率の低い中小企業に対する納付金の徴収対象拡大は到底納得がいかない。

 今後、日本経済は減速に向かうとの見方が強まっている。10月には消費税増税も予定されていることなどを考え合わせれば、中小企業からさらに障害者雇用のペナルティーを徴収する制度見直しは危険である。経済環境の流れからみても承服しがたい。

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平成31年3月11日第3200号2面 掲載

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