労災撲滅へ挑戦続ける/福留経営労務管理事務所 福留 章

2019.02.10 【社労士プラザ】
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福留経営労務管理事務所
福留 章 氏

 昨年12月10日昼過ぎ、顧問先の社長からの着信。ただならぬ様子に「労災ですか?」と声を掛ける。「そうなんです。それも重大事故。右足膝上から切断」。沈痛な声にこちらも言葉を失う。しばらくの沈黙の後、「誰が、どこで、なぜ」とたたみかける私に、ようやく「詳細は分からない」「ただ命に別状は…」。それは、別法人の関連会社での労災。開業以来、無災害の記録を更新し続けていたところだった。社員の人たちの安全と衛生への関心も高く、経験豊富な人材も揃っていた。

 同じ週の土曜日、社長に同行した。到着後ただちに現場に入る。本人の意識が混濁していて聞き取りができない状態。推測するしかない。現場は何事もなかったかのようにチェーンコンベアが音をたてて作動していた。あちらこちらに血痕が残り、事故の壮絶さが感じられた。胸に熱くこみ上げるものがある。被災者がここで足を喪失した。これからも続く激痛、恐怖、後悔、喪失感。彼は自分で階段を上がって室外に脱出し、救助を求めた。一命は取りとめたが、紙一重の状況が推察される。定例の安全パトロールと委員会を中止して、原因究明と再発防止のための会議を開いた。なぜ、立入禁止の場所に入ったか。何をしようとしたのか、そしてなぜ動力を切らなかったのか。緊急の対策としてドアに特殊な装置を取り付け、ドアが開くと同時に動力が切れ、ドアを閉めると動力が入るよう改善することを決定した。

 事業主の労働者に対する安全配慮義務は広くて深い。とくに重大事故が発生した場合の結果責任は、相当な安全管理体制を敷き機械設備を安全に管理していても、免れることはできない。「やっても、やっても」やり過ぎはないのだ。コンプライアンスだけでは足りないし、法は現実にできないことでさえ規制している面がある。緊急停止装置にしても100%完璧に設置することは不可能だ。事故発生から数日間、私自身大きな無力感にさいなまれ眠れぬ夜を過ごした。だからといって立ち止まることはできない。

 現在6社から安全パトロール、ミーティング、委員会でのアドバイス等を受託している。3社は、1000日を超える無災害記録を更新中である。衛生管理者の受験講座でも毎年10人ほどの合格者を出している。労務管理の中でも重要な安全と衛生について、事業主と労働者を守るという立場から、メンタルヘルスとリスクマネジメントを軸にして、労災防止に取り組んでいる。外国人労働者の急増、うつ病の発症など果てしなく困難な問題が山積みしているが、微力ではあっても無力ではないことを信じて挑戦を続けるつもりである。

福留経営労務管理事務所 福留 章【兵庫】

【公式webサイトはこちら】
http://fukudome-office.com/

平成31年2月11日第3196号10面 掲載

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