【ひのみやぐら】災害事例を教訓と意識して

2016.06.24 【ひのみやぐら】
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 どういう話の流れだったが今となっては記憶にないが、以前、元労働基準監督署長に「来署者から一番求められる資料は何か?」と聞いたことがある。そのときは、手続き関係の資料か、法律解説のパンフレットだと思っていたが「それはやっぱり災害事例だよ」と即答された。予想は見事にはずれたが、よく考えると不思議でもなんでもない。小誌の「建設業の労働災害事例」など災害事例に関する記事が感心の高いのを思いだせばよかっただけの話だった。

 労働災害事例は、皆が注目するデータであることはいうまでもない。イラストが入っているので目でみて、すぐに危険のポイントが示されている。発生状況、原因と対策が簡潔に書かれていて理解しやすく、最近ではリスクアセスメントのテキストとしても活用できるよう工夫しているものもある。

 この貴重なデータは、別の角度から見れば辛い記憶の集積でもある。とくに死亡災害となると、被災された方が身を持って危険箇所を教えてくれたように思える。だからこそ、安全衛生に携わる者は、大事な教訓として、しっかりと現場の対策につなげていかなければならない。

 今号特集Ⅰでは、山形建設の「事故・災害に学ぶ 検証―わが社の事例」と題する労働災害事例集を紹介している。同社が昭和53年から平成23年までに経験した労働災害、公衆災害、物損事故合計277の事故災害について、災害発生時の作業状況をイラスト付きで説明を加えたものだ。同社の後藤完司社長は「フタをして、隠してしまって良いことにはならない。世代が変わって、社員が変わるなかで、災害の記憶が薄まってしまうことのほうが問題」と情報を開示し、共有化を図ることで、安全管理につなげていくことを強調している。

 今年も全国安全週間が7月1 ~7日まで実施となる。要綱の「実施者の実施事項」として「災害事例、安全作業マニュアルを活用した教育内容の充実」が掲げられている。日ごろから行っている項目かもしれないが「先人の教訓」を改めて意識し実施してみてはいかが。

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平成28年7月1日 第2261号7頁 掲載

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