新しい時代の働き方/社会保険労務士法人 未来経営 代表社員 高山 正

2018.05.20 【社労士プラザ】

社会保険労務士法人 未来経営 代表社員 高山 正 氏

 皆さんは、次のどちらのビジネスにより魅力を感じるだろうか。

 ①毎月、定型の業務により決まった報酬を受け取るビジネス。②常に新しいサービスや製品を開発提供し、報酬を受け取るビジネス。

 おそらく、①と答えた方も多くいたのではないか。

 今からおよそ1万2000年前、人類は生活の安定を求めて、それまでの狩猟採集社会から農耕社会へと生活様式を変えた。いわゆる農業革命だ。

 しかし、昨年ビジネス書大賞を受賞した「サピエンス全史」の著者ユヴァル・ノア・ハラリは、農業革命を「史上最大の詐欺」と述べた。人々は農作物を育て、家畜を飼育することで今までより安定した豊かな生活が約束されると期待した。しかし、実際にはそうはならなかった。狩猟採集のころは週に30時間程度の労働で十分家族を養えた。

 ところが農耕社会では、畑を耕し、作物に水を与え、家畜の世話など家族総出で倍は働かないと食べていけない。育てた麦も、干ばつやイナゴの大量発生などにより飢餓に瀕することがあった。

 狩猟採集であれば、別の食物を探したり、移動すればそれで済んだ。農耕社会は、労働生産性も環境変化への対応力も著しく低いのだ。さらに驚くことに、毎日同じ作業を繰り返す農耕社会において、人間の脳は小さくなったという。想像するに、仕事そのものも退屈なものになったのではないかと思う。

 スーパーでは、今朝水揚げされた魚がその日に店頭に並び、直売所では山菜やキノコを買うこともできる。ところが時間とお金をかけて、わざわざ船に乗って釣りを楽しむ人がいる。遭難の危険があるにもかかわらず、山に分け入るのはなぜだろう。

 その後の産業社会は、時間と報酬の関係をより強固にしただけだった。多くの報酬を得るために、多くの人がより多くの時間を労働に費やすはめになった(昭和22年に制定された労働基準法は、いまだ時間に対して報酬が支払われることを原則としている)。

 情報化社会といわれて久しいが、AIやロボティクスの進歩には目を見張るものがある。私たち社労士も、今までのようなただ顧問先を数多く増やし、その処理に追われるビジネスモデルをそろそろ見直す時期ではないか。思い切って、1人当たりの担当する顧問先数を半数以下にする、それが無理でもそのための処理時間を半分以下にし、余った時間を別の価値あるモノに振り分けた方が賢明とはいえないだろうか。

社会保険労務士法人 未来経営 代表社員 高山 正【長野】

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掲載 : 労働新聞 平成30年5月21日第3161号10面

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