「職務基準」で生産性向上へ/社会保険労務士法人 綾部事務所 代表社員 綾部 光

2024.04.14 【社労士プラザ】
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社会保険労務士法人 綾部事務所 代表社員 綾部 光 氏

 社労士の仕事に携わるようになって、もうすぐ20年が経つ。仕事をするなかで、私はとくに対話を大事にしている。この対話を通じて、クライアントが課題と思っていない部分をどれだけ見つけられるかが鍵だ。

 多岐にわたる経営者の悩みのうちの1つが、賃金制度、評価制度、人事制度だ。どのように賃金を決めたら良いか、どのように評価したら良いか分からない、仕事をしっかりやってくれる人を評価して賃金を払いたい、という経営者は多い。

 ジョブ型の人事制度が近年注目されているが、どんな制度であっても、導入するだけでは会社の課題は解決しない。

 人事制度を入れること自体が目的なのではなく、会社がより良くなる、より成長することが求められていると思う。昭和の日本は人の多さを武器に成長してきた側面もあったと感じるが、今は深刻な人口減少社会に入っている。そのなかで、どのように生産性を上げていくか。

 そこで、職務基準の人事制度、職務給だ。それには今一度職務を見つめるしかない。中小企業の多くはマニュアルや標準作業書を持っていない。しかし、そのままでは属人化からは抜け出せず、人の入れ替わりで生産性が左右されてしまう。職務基準の人事制度では、現状の職務を分析し、可視化した上で、課題をも同時に洗い出し、業務の改善を行い、職務をあるべき姿にすることができる。

 難易度の混在した職務が人にくっついていた状態から、職務を最適化する職務設計を行うことで、最適な職務のあり方を構築し、職務を難易度に応じて人に割り当てられるようになる。そのような割当てにより、理論上作業の滞りは減少し、効率良く作業を進めることが可能となる。また、職務の見える化を通じて、教育しなければならない部分はどこか、職務や作業ごとの先行指標、成果指標、遂行上のリスクも明らかにすることができる。

 私がこのような考え方に至ったのは、(一社)日本職務分析・評価研究センターの西村聡先生に教えを受けたためだ。福岡県社会保険労務士会の人事制度研究部会でもその考え方を広めようと活動している。関係各位に感謝を申し上げたい。

 さらに人口が減少していくなかで、中小企業が今までより少ない人数で売上げや利益を拡大させていくのは、これまでと同じやり方をしていては不可能に近い。そこに人の専門家である社労士がパートナーとして深く関与することで企業を良くし、生産性が向上するとなれば、「社労士がいてくれて良かった!」となるのではないかと思う。そんな社労士をめざして、これからも励んでいきたい。

社会保険労務士法人 綾部事務所 代表社員 綾部 光【福岡】

【連絡先はこちら】
〒816-0822 福岡県春日市ちくし台2-51
TEL:092-582-9410

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令和6年4月15日第3445号10面 掲載

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