【主張】配偶者手当再編の好機に

2016.02.01 【主張】
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 現在も多くの企業が支給している家族手当が見直されようとしている。このほど、厚生労働省内に専門の検討会が設置されたという(本紙1月18日付1面に詳報)。パートタイマーなどが就業調整を開始する税・社会保険の「103万円・130万円の壁」とともに、家族手当の「壁」が俎上に上っている。

 家族手当はもっぱら企業の経営や賃金政策に基づき支給しているのであり、政府がいかなる結果を示そうとも廃止などを強制できるものではない。しかし、税・社会保険の「壁」が見直されつつあるなかで、家族手当制度が前時代的なものとして取り残されないよう、対処策の検討をスタートさせるのが賢明だ。

 家族手当あるいは配偶者手当が、1950年代から始まる日本の高度経済成長を支えたことに異論はない。当時、エコノミックアニマルとまで揶揄された日本のサラリーマンが自身の仕事に打ち込むことができたのは、いわゆる「内助の功」があってこそだった。家庭を守る妻の専業主婦化が進むことで、夫は心おきなく家庭を留守にできた。手厚い配偶者手当はこの勤労パターンに合致していた。

 しかし、時代は大きく動いている。バブル崩壊後の賃金制度の成果主義化で、仕事内容や業績に連動しない諸手当の整理が一部で始まった。住宅手当とともに、家族手当もその対象となったのである。現在の状況をみると、家族手当を支給している企業は77%にまで低下してきたが、それでも圧倒的割合を占めているのが実態だ。

 税・社会保障の「壁」とともに、家族手当の「壁」が女性の社会進出の足を引っ張っている側面があることは否定できないだろう。先進事例では、基本給部分に組み入れたり、配偶者偏重から子供や障害者手当重視に移行するケースが多い。

 企業としては、極めて属人的な家族手当を改める好機と捉えたい。社員のライフサイクルを見据えた生活水準の維持と労働生産性向上の双方を勘案した新たな手当制度を整備し直したらどうだろう。課題となっている1億総活躍社会の実現にも寄与する。

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平成28年2月1日第3052号2面 掲載

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