「図解」用いて課題整理/さとう社会保険労務士事務所 佐藤 広一

2013.06.03 【社労士プラザ】
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さとう社会保険労務士事務所
佐藤 広一 氏

 私は、人事労務の相談に応じるとき、セミナー講師として登壇するとき、そして著書を執筆するときに必ず意識することがある。それは、「難しいことを『分かる、伝わる、できる』ことに変換する」ということだ。弁護士の人たちは表現に瑕疵があってはいけないし、法律的な根拠や出典も意識せざるを得ないので伝え方も難しくなる。しかし、社会保険労務士としては、彼らと同じことをする必要はない。そもそも、クライアントも聴衆も読者も「分からない」からこそ私に情報やノウハウを求めているわけで、そこで難しいことを難解なままに伝えても、彼らが必要としている目的は果たされない。むしろ、難しいことを平易に分かりやすく変換することこそが、私たち社会保険労務士の存在価値なのではないかとさえ思う。

 そこでいつも活用するツールが「図解」という手法である。難しくて分かりにくいことをビジュアルで表現すると、それは言葉の壁を簡単に超越してしまう効果を発揮する。

 例えば、解雇のトラブルの相談を受けたとしよう。会社側は、恒常的に時間がかかるうえにミスをする社員に対して、費用対効果が見合わないから辞めてもらいたいと考える。これに対して労働者側には、十分な教育訓練を施してくれない上に低賃金でこき使われている、という意識があったりする。そこへ双方ともに、積年の不満や恨みごとが付加され、もはや収拾がつかなくなることも少なくない。そのようなグチャグチャな展開のなかに、相談先である我われが一緒になって議論に参入しても問題は何も解決しない。

 そのようなとき私はまず、クライアントから今日に至るまでの経緯をヒヤリングしながらその過程をすべて紙やホワイトボードに図示していく。誰と誰が揉めていて、コトの発端は何であって、誰がどんな言動を取り、その結果どのような事態が生じてしまったのかを図にしていく。そして、でき上がった図を俯瞰してみると、今起きている問題を客観視させることができ、争点や要件事実をピンポイントで見つけることができる。

 図解に限らず、相手に対して分かりやすく伝えるノウハウを習得することは、社会保険労務士として大事なスキルなのだと思うのである。

HRプラス社会保険労務士法人 佐藤 広一

【公式webサイトはこちら】
https://ssl.officesato.jp/

※タイトルの社名は連載時のものです。

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    平成25年6月3日第2923号10面 掲載

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