広がる労働条件審査/小田社会保険労務士事務所 小田 一成

2013.02.18 【社労士プラザ】

小田社会保険労務士事務所
小田 一成 氏

 以前から全国社会保険労務士会連合会が取り組んでいる「経営労務監査」が、地方自治体の指定管理者制度導入施設における「労働条件審査」として活用されてきている。

 経営労務監査は、企業経営の3要素である「ヒト、モノ、カネ」の「ヒト」に関する監査であり、企業における労務リスクを把握し、リスクを解消して、「ヒト」を活用した事業効率の高い経営をめざすものである。それは、かつて社労士や人事コンサルタント等が「労務診断」として実施してきた、企業における労働関係諸法令の順守および適正な運用を確認する「労務コンプライアンス監査」と生産性向上に向けた適正な人材配置に関する「人材ポートフォリオ監査」、さらに従業員の意識調査とを組み合わせて、会社経営の「ヒト」の管理、つまり人事労務管理の適法性と適正性を監査することである。労働条件審査は、そのなかの労務コンプライアンス監査に該当する。

 この労働条件審査については、東京都板橋区が平成20年8月から、公共施設の管理を請け負う民間事業者(指定管理者)に対して、労働者の賃金を含めた労働条件の整備状況を確認する取組みを始めた。

 その後、東京都のほかの自治体(千代田区、東村山市、北区、新宿区)でも導入され、いずれのケースも社労士による労働条件の点検が採用されている。そして、平成23年4月、川崎市では政令指定都市で初めて、市が発注した事業を受注した企業に対し、賃金を含め一定の労働条件を確保することを求める公契約条例が施行された。

 国や地方自治体の事業を請け負っている事業所や指定管理者になることを希望する事業所、今後公共事業の競争入札への参加を希望する事業所はいずれの場合にも労働条件を事前に点検、整備することが必要不可欠となってきており、労務管理が適切に行われているかどうかを、社労士による労働条件審査で担保しようとする機運が全国に広まりつつある。

 今後、「ヒト」に関する経営労務監査の重要性が今以上に認識され、「カネ」に関する会計監査といえば公認会計士というイメージと同様に、経営労務監査といえば社労士というイメージを定着させたいものである。

小田社会保険労務士事務所 小田 一成【広島】

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掲載 : 労働新聞 平成25年2月18日第2909号10面

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