ゼネラリストの必要性/熊本県社会保険労務士会 会長 和田 健
本題に入る前に、4月の熊本地震に際し、心温まるご支援やお見舞いをいただいた皆さまに対し、熊本県社会保険労務士会の会長として、そして一人の社会保険労務士としても心からの感謝を申し上げたい。
さて、社会保険労務士と一口にいっても、その業務も多岐にわたり、また時代の変化や法律の改正等により、新たな社会的ニーズが生まれ、さらなる広がりをみせている。
そのような中で、自分の強みや特長を活かし、より高度で専門性の高いサービスを提供することで顧客のニーズに的確に応える「スペシャリスト」が、社会保険労務士の業務スタイルの1つとして確立されてきている。この流れは今後より一層進んでいくと思われる。
一方で、特定の分野における専門性はスペシャリストほど高くはないが、あらゆる分野で万遍なく総合的に業務を行う「ゼネラリスト」の存在も不可欠である。少なくとも私はそう確信している。
私が事務所を構えているのは熊本でも地方に当たり、地域の方には失礼かもしれないが、正直田舎である。中小企業がほとんどで、その中でも小規模事業所といわれる事業所が多数を占める。事業主自らが従業員とともに現場で仕事をしており、本業以外の業務には手が回らないのが実情である。
また、この規模の事業所では、たとえば手続きと相談とをそれぞれ別の社会保険労務士に依頼するというのも現実的ではない。このような事業所には、労務管理全般において何でも依頼や相談ができる、ゼネラリストの社会保険労務士が必要とされる。
このゼネラリストの必要性は、私が社会保険労務士となってから13年間の日々の業務の中で実感するようになったものであるが、この思いをより確固たるものにしたのが熊本地震である。
非常時にあって、誰に何を相談すればいいのか悩むのではなく、少なくとも「ヒトに関すること」は、社会保険労務士の和田に相談すれば大丈夫、そんな安心感を持ってもらえる存在でありたいと強く感じた。
自分の得意分野や強みを活かしつつも、幅広い分野で、かつレベルの高いサービスを提供できる、そんなゼネラリストの社会保険労務士でありたい。
熊本県社会保険労務士会 会長 和田 健【熊本】
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