「自前の職業倫理」が必要に/和歌山県社会保険労務士会 会長 中谷社会保険労務士事務所 所長 中谷 貴之

2014.01.20 【社労士プラザ】

和歌山県社会保険労務士会 会長
中谷社会保険労務士事務所 所長
中谷 貴之氏

 全国社会保険労務士会連合会において昨年、「社労士制度推進戦略室」が設置され、「5つの基本的スタンス」が示された。その5つとは、①社労士のビジネス業域の拡大、②社労士の社会貢献活動、③社労士の業域の保全、④広域的な広報活動の展開、⑤国際化事業である。

 社労士という職業は、45年前に社労士法が制定された当時、「労働社会保険行政の外延的存在として行政の浸透に大きく役立つこと」から始まり、同時に社労士としての職業倫理も確立されてきた。当初の社労士は、国家から与えられている公の信用力を背景に、労働社会保険諸法令に関する業務を「職業」として独占的に行う立場を認められたプロフェッションを有する者であった。

 しかし、いろんな要因が我々の職業倫理に影響を与えてきた。例えば、社労士自体のライフスタイルやビジネスモデルの多様化、ICTの進歩、そして何よりも行政自体の変容や消失などにより環境が激変してしまい、我々の仕事もいわゆる「厚労省の縦割り行政の枠」には収まりきらない状況となっている。

 例えば、最近の雇用保険関係の助成金申請での不正多発などは、民法を学んでこなかったからと許される話ではないだろう。また、景品表示法違反と思われるような広告やネットでの宣伝などの事例は枚挙にいとまがないほどである。

 一方、社労士が人事労務分野のプロフェッションであり続けるためには、顧客や消費者にとって価値のあるブランドを構築するための活動や、他士業との違いを明確に提示することで顧客や消費者の関心を高め、事業活動を促進することを積極的に考えていくブランディングが必要である。

 我々の使命と業務は、社会権や社会保障に由来する限りなくなることはないといえるかもしれないが、時代の流れの中で、社労士が能動的に委任を重ねていき、社労士会や連合会が多面的で柔軟な団体運営をしていかなければ、プロフェッションとして生き残っていくことが難しくなってきているのである。

 すなわち、社会保険労務士もいよいよ「自前の職業倫理」と「社労士のブランディング」が必要な時代になったのである。

和歌山県社会保険労務士会 会長 中谷社会保険労務士事務所 所長 中谷 貴之【和歌山】

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掲載 : 労働新聞 平成26年1月20日第2953号10面

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