【ひのみやぐら】保護具の軽視が災害を招く

2025.08.08 【ひのみやぐら】
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 「身を守る最後の砦」である保護具であるが、正しく使用されていないことによる労働災害が後を絶たない。

 建設業では、墜落・転落災害が依然として最多を占めているが、安全帯が適切に使用されていれば防ぐことができたとされる例がよく見られる。「墜落の危険のある場所にもかかわらず、安全帯を装着していなかった」「2丁掛け安全帯で、一方のランヤードを掛け替える前に他方のランヤードを外してしまい墜落した」などの災害が起きている。労働基準監督署が行う書類送検でも、安全帯を使用させていなかったことによる法違反がたびたびある。

 衛生管理面の場合、呼吸用保護具の不使用、誤使用による労働災害が目立つ。「有機溶剤を含む塗料の塗布作業で適切なマスクを使用していなかったため、中毒症状を発症した」「アーク溶接作業中に正しく保護マスクを使用せずに作業に従事したため、肺機能を損なった」などの労働災害が報告されている。

 化学物質に関しては昨年、安衛則などの改正により、リスクアセスメント対象物を製造、取扱い、譲渡提供をする事業場ごとに「保護具着用管理責任者」の選任が義務化された。こうした状況からも保護具について、とくに注意や監視の重要性が増している。

 作業場に存在する危険・有害要因から労働者の身体を守る保護具だが、作業者に保護具を支給しただけで、責任を果たしたような感覚に陥ってはいないだろうか。保護具については、正しい装着方法はもちろん、日ごろの点検・管理方法などを安全衛生教育により指導しなければ、作業者はその効果を軽視しかねない。つまりは保護具の有用性を軽く見た結果、不使用や誤使用につながり、ひいては労働災害を引き起こすといえよう。

 このため、保護具を装着する理由、特徴、選定方法、日ごろからの保守管理、部品の交換時期や廃棄方法などを指示しておきたい。安全衛生担当者は教育実施のため、保護具メーカーから情報収集をしておくのがよいだろう。

 保護具の意義を理解することが、災害を防ぐうえで重要だ。

2025年8月15日第2480号 掲載
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