【主張】高齢者労災防止へ意識を

2025.05.29 【主張】
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 高年齢労働者の労働災害防止対策を事業主の努力義務とする改正労働安全衛生法がこのほど、公布された(関連記事)。

 改正法では、高年齢者対策の努力義務化に合わせ、エイジフレンドリーガイドラインに法的根拠を与え、労働者の身体機能の低下に配慮した取組みを推進する。ただ、同ガイドラインの認知度が低調な現状を考えると、法的根拠のある指針に格上げしただけで、ただちに企業の取組みが徹底されるとは考えにくい。中小企業を含むすべての企業において、高年齢者対策の必要性への理解が進むことが欠かせない。

 同ガイドラインは、休業4日以上の死傷災害のうち、60歳以上に関する事案が占める割合について上昇が見込まれることから、令和2年3月に策定。高年齢者が安心して働ける職場環境の実現に向けて、身体機能の低下を補う設備・装置の設置・導入や高年齢者の特性を考慮した作業管理といった職場環境の改善など、事業者に求められる取組みをまとめている。厚労省は、中小企業の取組みを支援するエイジフレンドリー補助金を用意し、活用を呼び掛けてきた。

 しかし、策定から数年が経過しても、ガイドラインが求める企業の労災防止対策はあまり進んでいない。令和5年労働安全衛生調査によると、同ガイドラインを知っている事業所割合は2割に留まっており、高年齢者に対する何らかの労災防止対策に取り組んでいるのは、さらにそのうちの2割に過ぎない。

 原稿の安衛法では、中高年齢者対策として適正な配置のみを事業者に求めているが、ガイドライン策定後も高年齢者の労働災害が増加。そうした状況のなかで、改正法では、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、適切な作業管理その他の措置を、すべての企業の努力義務とした。

 中小企業においても高年齢者に特化した労災防止の取組みが行われるようにするためには、高年齢者の災害は休業が長期化する傾向にあることや、発生率が高いことについて、努力義務化を契機に幅広く注意喚起し、企業の意識向上を促すことが重要だ。

令和7年5月26日第3499号2面 掲載
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